演題

RS1-8-7-2

脾弯曲部横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の工夫

[演者] 向井 俊貴:1
[著者] 上原 圭介:1, 相場 利貞:1, 江畑 智希:1, 横山 幸浩:1, 伊神 剛:1, 菅原 元:1, 深谷 昌秀:1, 山口 淳平:1, 梛野 正人:1
1:名古屋大学大学院 腫瘍外科学

日常臨床で脾弯曲部横行結腸癌に遭遇する頻度はそれほど高くはない.当院でこれまでに腹腔鏡下に切除した脾弯曲部横行結腸癌はわずか6例であった.また手術に際してはSMA,IMAの2系統からの血流を考慮した郭清が必要であると同時に,血管走行のバリエーションや,脾臓,膵臓,大網との生理的癒着といった解剖学的特徴も相まって腹腔鏡下手術の難易度は高いとされる.しかし,MCA周囲解剖の理解と手術手順の工夫により安全かつ,過不足のない郭清を伴った手術を施行できる.当教室における脾弯曲部横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の手技を述べる.
教室では左側結腸癌に対してIMV 右側からの下行結腸間膜の剥離および脾弯曲授動を行っている.内側からの剥離は体型による影響をうけにくく,横行結腸を大網から外す際に術野が手前に引き出される利点がある.脾弯曲部横行結腸癌に対してもここから手術を開始する.すなわちIMA根部より頭側のIMV右側で下行結腸間膜を切開し,内側アプローチを行う.LCAおよびIMV末梢側は症例に応じた位置で離断し,さらに外側頭側に剥離を進める.頭側では膵下縁で網嚢に入り,可能ならば内側から脾弯曲を授動する.次にIMV中枢側を膵下縁で切離するが,症例によってはこの位置でacMCA(副中結腸動脈)を認める.D2郭清ならばこの位置で同血管も切離する.D3郭清の場合は根部であるSMAに向けてさらに剥離を進めるが,難易度は高くなる.横行結腸を腹側にけん引し間膜を拡げ,トライツ靱帯と十二指腸水平脚を結ぶラインで横行結腸間膜の基部を切開する.網嚢も可及的に肝弯曲にむけて開放し,癒着を剥離しておく.十二指腸下行脚付近では上行結腸間膜が薄くなっており,ここを切開し上行結腸間膜を剥離し,acRCVからGCTを確認し,さらにSMV前面を露出する.MCA根部を確認し郭清を行い,MCA左枝の根部で血管を処理する.その際,MCAのすぐ背側にMCVが走行することが多いため注意を要する.またMCAの根部がわかりにくい場合には肝弯曲側からも網嚢に入り,左右から中結腸動脈をはさみうちにするとよい.大網を適宜,腫瘍側につけて処理し,標本を摘出する.
IMV右側からの内側アプローチを用いた脾弯曲部横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術はLCAからMCAに向けて手術が進むため術野の行き来が少なく,メルクマールを確認しながら安全で過不足のない郭清を行うことができる.
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