演題

RS1-7-7-5

内側アプローチ先行による腹腔鏡下横行結腸癌手術:術式と短期成績の検討

[演者] 辻仲 眞康:1
[著者] 宮倉 安幸:1, 長谷川 芙美:1, 菊川 利奈:1, 石川 英樹:1, 染谷 崇徳:1, 田巻 佐和子:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

【目的】当院における横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の術式をビデオで提示し,短期成績について検討する. 【方法】2011 年 1 月から 2016 年 12月までの期間に,横行結腸癌に対して腹腔鏡下手術を施行した93 例を対象とした.術式の概略を示す.術前のCT検査を用い,上腸間膜血管の分岐形態を把握しシェーマ化しておく.肝彎曲部結腸癌に対しては,内側・下方から右結腸間膜を郭清し,回結腸動脈(ICA)切離後にSurgical trunk の郭清を行い,中結腸動脈(MCA)根部に至る.腫瘍占拠部位によりMCA右枝もしくは根部で切離を行う(結腸右半切除術または拡大結腸右半切除術).結腸肝彎曲部から胃結腸静脈幹(GCT)に流入する静脈を副右結腸静脈(ARCV)とし,これを内側から切離する.横行結腸中央部の癌に対しては,ICAの頭側から腸間膜切開を行い,先に十二指腸・膵頭部の前面を露出して肝結腸間膜に至り,網嚢に近接しておく.続いて,空腸起始部と結腸間膜後葉との癒着剥離後に膵下縁に至り,MCA 根部を左右から囲むように郭清する.中結腸静脈(MCV),ARCVを内側から切離する.その後,頭側より結腸間膜前葉を切開して網嚢を開放する.脾彎曲部結腸癌に対しては,原則的に結腸左半切除術の適応となる.左結腸動脈を根部で郭清後,下行結腸間膜を頭側に剥離して膵下縁に至り,外側授動後に頭側から網嚢腔に到達する.MCAの頭側より分岐する,副中結腸動脈または副左結腸動脈の存在を,術前および術中に確認しておく.
【結果】数値は中央値(範囲)で示す.年齢 69(41-90)歳,女性 39 例・男性 54 例,BMI 23(16-32)kg/m2.深達度は,Tis: 8例,T1: 18例,T2: 11例,T3: 40例,T4: 16例.病期は,0: 8例,I: 27例,II: 28例,III: 24例,IV: 6例.手術時間 220(120-370)分,出血量 30(10-1900)ml,郭清リンパ節個数 18(3-61).転移リンパ節は,#221のみ: 19例,#222のみ: 3例,#221と#222: 5例,#221と#222と#223: 2例で,T2症例は#221のみに転移し,Tisおよび T1症例ではリンパ節転移なし.出血制御困難に伴う開腹移行を2例(2.2%)にみとめた.Clavien-Dindo分類grade III以上の術後合併症が4例に発生し,その内訳は腸閉塞が2例(2.2%),術後出血が1例(1.1%),縫合不全が1例(1.1%)であった.
【結論】内側アプローチを先行させる術式により,難易度が高いとされる横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術を比較的安全に施行することが可能と考えられる.
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