演題

RS1-7-7-4

膵損傷を回避した中結腸動静脈根部郭清の工夫と定型化

[演者] 小川 博臣:1
[著者] 茂木 陽子:1, 加藤 隆二:1, 高田 考大:1, 小澤 直也:1, 村主 遼:1, 堤 荘一:1, 桑野 博行:1
1:群馬大学附属病院 消化器外科

腹腔鏡下のS状結腸切除術や回盲部切除術は,多くの施設で定型化がなされ定着しているが,横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は技術的難易度が高く,多くの施設で定型化の試みがなされている所である.横行結腸切除において,SMV周囲郭清の際に尾側からのみのアプローチでは膵臓や血管など周囲臓器を損傷する危険性があり,また特に静脈系を中心とした血管分岐形態のバリエーションが豊富であることが難易度を高くしている要因である.我々が考える横行結腸切除におけるポイントは,1)膵損傷を回避した膵下縁の郭清範囲の同定,2)上腸間膜静脈(SMV)系での確実な結腸静脈の同定と切離,3)中結腸動脈(MCA)根部の郭清と切離,としている.これらのポイントを踏まえ,我々は横行結腸切除で安全に過不足なく根部郭清を行う為に,特に膵損傷回避と切離する結腸静脈同定に着目し,以下の手技・手順の定型化を行っている.1)中結腸動静脈根部の郭清は,網嚢を解放して横行結腸間膜頭側から開始し,膵下縁からSMV前面にアプローチして郭清範囲の頭側を同定し剥離しておく.これにより,後に尾側からSMV前面の郭清を行う際に膵損傷を回避できる.2)同時に,切離すべき結腸静脈を横行結腸間膜頭側から確認し切離する.胃を挙上して結腸との間から郭清する事により,胃や膵臓からの静脈を誤認することなく確実に結腸静脈が同定・切離できる.3)これらの操作を確実に行うため,網嚢解放から一連の流れで肝湾曲部の十分な受動を行っておき,肝湾曲付近の横行結腸間膜を尾側左側に展開することで,十分な術野を展開する.
我々はこれらの工夫により,これまで中結腸動静脈の郭清を伴う右半結腸切除あるいは横行結腸切除を55例行っているが,術中膵損傷や術後膵液漏などの郭清に伴う合併症を一例も認めていない.郭清範囲の頭側端(膵下縁)の切離と,結腸静脈の処理を頭側からのアプローチで行うことにより,中結腸動静脈根部の郭清がより安全に行えると考えている.
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