演題

SY06-5

膵液瘻の病態に基づいた膵切除術後早期ドレン抜去基準の検討

[演者] 小坂 久:1
[著者] 里井 壯平:1, 柳本 泰明:1, 山本 智久:1, 廣岡 智:1, 山木 壮:1, 小塚 雅也:1, 井上 健太郎:1, 松井 陽一:1, 權 雅憲:1
1:関西医科大学附属病院 外科学

はじめに:膵液瘻の主要因は漏出した膵液への細菌感染と考えられる.ドレン長期留置は腹腔内感染を助長する事が知られており,不要なドレンの早期抜去は膵液瘻低減に寄与する.一方,ドレン早期抜去は時にドレナージ不全から膵液瘻の重症化を来し,再穿刺を要する場合もある.術後早期にドレン抜去が可能な状態かを判断し得る抜去基準の確立が強く望まれる.我々は2012年よりドレン早期抜去基準を独自に設け,膵切除術後ドレン管理に使用してきた.今回,当院のドレン管理結果を解析した上で,膵液瘻の病態を反映し得る抜去基準を検討した.
方法:2012年7月から2016年11月までの約4年間に当院で膵切除術を施行した400例を対象としドレン管理結果を解析した.当科の抜去基準は術後1日目dAMY(ドレン排液アミラーゼ値)<5000,術後3日目dAMY<3000であり,これを共に満たせば術後3日目にドレン抜去する.ISGPF B/Cをclinically relevant pancreatic fistula (cPF)とした.
結果:全400例(膵頭側切除251例/尾側切除139例/その他10例)において,cPF発生率は11.3%,ドレン抜去日中央値は3日,術後在院日数中央値は11日,再穿刺率は5.8%であった.抜去基準を満たした症例(全体の76.8%)におけるcPF発生率は3.6%(陰性的中率96.4%)でドレン留置期間中央値3日,再穿刺率3.6%であり,比較的安全にドレン抜去が可能であった.一方,抜去基準外の症例(全体の23.2%)におけるcPF発生率は36.6%(偽陽性率63.4%)でドレン留置期間中央値6日,再穿刺率12.9%であり,抜去基準としては,高い偽陽性率が問題と考えられた.ここで,感染状況を反映する指標として術後3日目のWBC,CRPを解析するとcPF発生群において有意に高値である事が判明し(WBC:11200 vs 9600/μl,CRP:20.2 vs 10.2 mg/dl),ROC解析の結果,CRPはAUC 0.84とcPF発生に対する高い診断能を示した(カットオフ値CRP15.3).抜去基準外症例において,CRP15未満の場合もドレン抜去可能とする新基準を仮定すると,新基準を満たした症例(全体の85.3%)のcPF発生率は3.5%(陰性的中率95.6%),再穿刺率3.5%であった.また,新基準外の症例の偽陽性率は47.5%と低下しており,より多くの症例において安全にドレン抜去し得る可能性が示唆された.
まとめ:術後1日目と3日目のdAMYを基軸とした我々の抜去基準に,感染指標であるCRP<15mg/dlを追加する事で,膵液瘻の病態をより反映し得る抜去基準が得られる可能性が示唆された.
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