演題

RS2-103-16-4

腹腔鏡下胃全摘術におけるOverlap吻合を用いたRoux-en-Y再建の定型化と工夫と100例の結果

[演者] 北上 英彦:1
[著者] 野々山 敬介:1, 原田 真之資:1, 藤幡 士郎:1, 宮井 博隆:1, 高嶋 伸宏:1, 安田 顕:1, 山本 稔:1, 清水 保延:1, 田中 守嗣:1
1:刈谷豊田総合病院 消化器・一般外科

【緒言】我々は腹腔鏡下胃全摘術(LTG)の再建は,腹腔鏡下で取り回しがよく,吻合腸管の内径に左右されず広い吻合口が得られるLinear staplerを用いた方法を第一選択としている.当初,食道空腸の機能的端々吻合を行っていたが,縫合不全,食道裂孔ヘルニア,通過障害,十二指腸断端瘻など様々な術後合併症を経験した.それらを解決するためにOverlap吻合(OL)に変更し,手技を改良しつつ定型化した.現在までに130例を行い,吻合部に関する合併症を経験していない.また,ロボット支援手術にも同様の手技を導入している.今回我々の定型化した再建法とその結果について報告する.
【対象と方法】2011年から現在までに当院にて同一指導医が術者,指導的助手として参加した胃癌に対するLTG症例で,OLを行い術後1年以上経過した100例を対象とした.細かい手技の変更や追加を行ったが,最初からすべての手順を定型化した.手術は5ポートと肝挙上鈎で胃切除後,臍部ポート創を3~4㎝大の小開腹とし切除胃を取り出す.その開腹創より犠牲腸管と挙上空腸の作成とY脚吻合を行い,腹腔鏡下にOLによる食道空腸吻合を行う.吻合後,食道空腸吻合部と挙上空腸の直線化,十二指腸断端の補強のため挙上空腸を十二指腸断端に縫合し,最後に腸間膜間隙を縫縮する.
【結果】100例の術者は8人,OLに要した時間は平均32分で,術中吻合法が変更となった症例はなかった.術中のトラブルとして,吻合部の食道粘膜が脱落し追加縫合,形成が必要であった1例と,空腸側のstaple挿入口が裂けT字型に閉鎖が必要であった症例を認めた.そのため,staple挿入前に,食道,空腸それぞれのstaple挿入口には漿膜筋層と粘膜のずれを防止する支持縫合を行うようにした.術後経過では,膵液瘻3例,術後出血1例の合併症を認めたが,吻合部に関する合併症は認めず,平均在院日数は10日であった.最長5年の外来経過で狭窄など吻合部合併症は認めていないが,術後2年目にPetersen herniaと術後3年目にstaple lineの癒着による絞扼性イレウス各1例を認め,再手術を要した.その後の症例ではstaple lineの埋没の追加と,腸間膜閉鎖は吸収糸から非吸収糸に変更した.
【結語】我々の行っているOL吻合は縫合不全,狭窄を1例も認めず,非常に有用で安全な再建方法と考えている.また,ロボット支援手術にも応用可能である.今回,我々の定型化したOLをビデオにて供覧し,その工夫について報告する.
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