演題

RS2-103-16-2

腹腔鏡下胃全摘術における脱着型組み立て式波型鉗子(PSD)とcircular Staplerを用いた再建法

[演者] 奥野 圭祐:1
[著者] 五木田 憲太朗:1, 中川 正敏:1, 谷岡 利朗:1, 井ノ口 幹人:1, 小嶋 一幸:1
1:東京医科歯科大学附属病院 胃外科

腹腔鏡下胃全摘術(LTG)は,リンパ節郭清や再建の難しさ,合併症率の高さなどから,広く普及には至っていない.今後のLTGの普及のため,安全かつ簡便な再建法の定型化が重要である.当科では,高砂医療機器と共同開発した脱着型組み立て式波型鉗子(PSD)を用いて,circular stapler(CS)で完全腹腔鏡下に食道空腸吻合を行っている.また,当科では腹腔鏡下噴門側胃切除術(LPG)にDouble tract再建を採用しており,この際の食道・空腸吻合も同様の手技で行っている.実際の手技についてビデオで供覧する.
食道はリンパ節郭清の初期段階でlinear stapler(LS)で切離する.郭清終了後,左下ポート創を横4cmに延長し,標本を摘出する.アンビルヘッドを予め腹腔内に留置する.PSDの先端部分とシャフト部分を体外で組み立て,延長した左下ポート創から腹腔内に挿入し,再気腹する.術者助手の2点で食道断端を尾側に引き出し,PSDをかける.PSDに直針を通し,食道断端にタバコ縫合をかける.食道断端を超音波凝固切開装置で切離後にPSDを外し,先端部分を体内ではずし,左上腹部に置いておく.糸を1回仮結紮しクリップでとめ,余分な糸は切離する.右下ポートから挿入した鉗子でアンビルを把持し,アンビル鉗子の回転軸に合わせ,術者1点と助手2点の計3点で食道断端を開き,アンビルを食道断端へボタンをかけるように滑り込ませる.糸を腔内で結紮し,エンドループで補強を行い,固定を完了する.挙上する空腸を創外へと誘導し,LSで切離する.CS本体を空腸断端より挿入し,逸脱しないよう糸で仮固定する.延長した左下ポート創よりCS本体を挿入する.腹腔鏡観察下にCSのセンターロッドを出し,結腸前経路で挙上し,CS本体とアンビルを接続する.腸管の捩れや多臓器の巻き込みがないことを確認しながら,吻合操作を行う.挙上空腸断端はLSで閉鎖し,断端は埋没縫合で補強する.食道空腸吻合より約50cm肛門側でY脚を作成する.Y脚は,直視下にLSの側々吻合で行い,共通孔もLSで閉鎖する.最後に,ピーターセン孔と小腸間膜の間隙を連続縫合で閉鎖して再建を終了する.
当科では,2009年11月から2016年10月までに,LTG:58例・LPG:36例にPSDを用いた再建を施行している.食道空腸吻合に関する合併症は,吻合部狭窄が2例(2.1%),挙上空腸盲端の縫合不全が1例(1.1%)であった.当科の食道空腸吻合手技は,安全に施行可能であり,標準治療になり得ると思われる.
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