演題

RS2-103-16-1

経口アンビルを用いた輸出路を患者左側とする腹腔鏡下胃全摘術後Roux-en-Y再建

[演者] 徳原 孝哉:1
[著者] 中田 英二:1, 天上 俊之:1, 河合 功:1, 近藤 圭策:1, 上田 博文:1, 富岡 淳:1
1:鳳胃腸病院 外科

[はじめに] 経口アンビル(Orvil)を用いた腹腔鏡下胃全摘術(LTG)後食道空腸吻合の大きな問題点は,「難治性狭窄」であるが(Zuiki T, et al. : Surg Endosc ; 2013 ;27(10):3683-9),その原因の一つとして,環状縫合器(CS)を用いた腹腔鏡下食道空腸吻合施行時の特有の現象である「吻合部の捻れ」があげられる.今回,「食道空腸吻合部の捻れ」を防止する方法として,「輸出路を患者左側とするOrr型Roux-en-Y再建」の詳細を供覧する.[手術手技]5ポート法(右肋弓下,右側腹部:5 mm,臍部,左肋弓下,左側腹部:12 mm).郭清終了後,自動縫合器で切離された腹部食道断端に経口アンビル(25 or 21 mm)を留置する.Treitz靭帯から20cm~30cmの空腸の直動脈を処理し犠牲腸管とした後,臍部小切開創から,必ず肛門側が患者左側となるような配置で体外に導出する.20cmの部位を自動縫合器で離断後,同部位からグローブを通したCS本体を肛門側腸管に挿入し,31cmの部位で打ち抜いて体内に戻す.再気腹後,左側腹部ポートよりカメラを挿入し,腹腔鏡下に食道空腸吻合を行う.[結果]2013年11月~2016年1月のLTG15例に本法を施行(男:女=11:4,年齢:63.9±11.4 (34―84) 歳,25:21 mm =9:6,術後観察期間:752±258 (330-1129) 日).全例に「食道空腸吻合部の捻れ」の発生なし.縫合不全 0例.狭窄2例(1例目:43PODにバルーン拡張術,その後423日間無治療再発なし.2例目:238PODにバルーン拡張術を行うも奏効せず336PODにradical incision and cutting法を施行,その後155日間無治療再発なし.).[考察]腹部食道断端は正中やや左側寄りに位置するため,臍部から挿入されるCS本体の向かう方向は,自ずと正中から患者左側へと規定される.また,挙上空腸断端より挿入するCS本体の方向は肛門側となる.つまり,肛門側(=輸出路)を患者左側とすれば,「吻合時の挙上空腸の捻れ」が回避される.また,空腸動脈は上腸間膜動脈より患者左側方向へ分岐するため,空腸肛門側(=輸出路)が患者左側に配置されるのは生理的であり,本法では「吻合後の挙上空腸の捻れ」も回避される.以上の結果,「食道空腸吻合部の捻れ」が防止される.[結語]本法は「比較的簡便」であり,LTG後食道空腸吻合の「難治性狭窄」を防止するための一助になり得ることが示唆された.
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