演題

RS2-102-16-2

腹腔鏡下胃全摘術におけるリニアステープラーを用いた食道空腸吻合の手技と短期治療成績

[演者] 細木 久裕:1
[著者] 松尾 宏一:1, 小濵 和貴:1,2, 久保田 惠子:1, 久保田 豊成:1, 森 友彦:1, 吉村 直生:1, 庄野 孝仁:1, 山本 栄司:1, 森本 泰介:1
1:京都市立病院 外科, 2:京都大学大学院 消化管外科学

【背景】胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術が普及する中,腹腔鏡下胃全摘術(LTG)においては体腔内食道空腸吻合の技術的難易度の高さのため,普及しにくいのが現状である.【目的】当院では2013年4月よりLTGにおける食道空腸吻合においてリニアステープラーを用いた手技の定型化を図り,2016年10月までに28例に対して施行した.食道空腸吻合の手術ビデオを供覧し,手技の留意点と短期治療成績につき検討する.【手術手技】①機能的端々吻合(FEEA) 食道浸潤のない症例では腹部食道を温存しFEEAを標準とする.食道断端,挙上空腸断端に小孔を作成の後,助手左手からステープラーを挿入し逆蠕動で吻合を行う.共通口は縫合による仮閉鎖の後,術者右手からリニアステープラーにて閉鎖する.吻合部は通常腹腔内に位置するが,食道横隔膜(靭帯)が弱い,あるいは切離された症例では,吻合部が縦隔内への牽引される可能性があり食道断端を横隔膜脚に固定する配慮が必要である.②腹部食道への浸潤のある症例では,順蠕動によるOverlap法による再建を行う.食道の長軸方向にステープラーが挿入されるため,吻合予定の食道の十分な可動性が得られるように,切離ラインから約5-6cm長の食道周囲を剥離する.横隔膜腱中心を切離する,あるいは,左右の横隔膜脚を縫合糸で左右に牽引する視野展開も有用である.同様に助手左手からのステープリングを行い,共通口は体腔内縫合にて閉鎖する.術後の食道裂孔ヘルニア予防に挙上空腸を横隔膜と縫合固定する.【結果】FEEAを25例,Overlap法を3例に施行した.再建に要した時間はFEEA群で平均20(11-44)分,Overlap法では平均40(27-50)分であった.術中トラブルや開腹移行は認めず.術後合併症として,縫合不全は認めず,FEEA群で導入初期に1例,挙上空腸の縦隔内牽引が原因で吻合部の屈曲による通過障害を来したが,保存的に症状軽快した.食事開始までの期間の中央値は4(4-18)日であった.【考察】リニアステープラーを用いた食道空腸吻合は安全に施行可能であった.食道長軸方向にステープラーを挿入するため,適切な剥離長や術後のヘルニアに対する配慮も必要と考えられた.【結論】中長期成績の検討も必要であるが,リニアステープラーを用いた食道空腸吻合は安全な吻合手技と考えられる.
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