演題

SY06-4

膵体尾部切除におけるリンフォーストライステープルの安全性,有効性に関する多施設共同前向き単アーム試験

[演者] 近藤 成:1
[著者] 里井 壯平:2, 庄 雅之:3, 外山 博近:4, 藤井 努:5, 松本 逸平:6, 江口 英利:7, 生駒 久視:8, 山上 裕機:9
1:広島大学大学院 外科学, 2:関西医科大学医学部 外科学, 3:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学, 4:神戸大学大学院 肝胆膵外科学, 5:名古屋大学大学院 消化器外科学, 6:近畿大学医学部 肝胆膵, 7:大阪大学大学院 外科学, 8:京都府立医科大学医学部 消化器外科学, 9:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室

【背景】膵体尾部切除(DP)術後における膵液瘻の発生頻度は20~50%といまだ高率であり,その発生を減少させるため,様々な工夫がなされている.中でも,唯一の補強材付き自動縫合器による膵体尾部切除のRCTでは,膵液瘻の発生が1.9%に有意に減少したとの報告がある.しかし,少ない症例数での報告であり,その効果は確立されたとは言い難い.
【目的】DPの膵切離において,補強材付き自動縫合器(リンフォース トライステープルTM)が,臨床的膵液瘻の発生を減少させるかどうかを,validation studyとして多施設共同前向き単アーム試験にて検討する.
【対象と方法】2014.10~2015.11に本邦11施設において,121例が登録され,DPの際にリンフォース トライステープルを用いて膵切離を行うことを企図した.症例設定根拠は,過去の報告より,リンフォース トライステープルを用いた膵切離における,臨床的膵液瘻(ISGPF Grade B/C)の発生率が6%に減少すると仮説を立てて本試験を計画した.主要評価項目は,臨床的膵液瘻(Grade B/C)の発生頻度とした.本試験の登録番号は,NCT02270554およびUMIN000015384である.
【結果】121例中,105例が評価対象となった.膵液瘻(Grade A/B/C)の発生頻度は42例(40%)であり,主要評価項目である臨床的膵液瘻(Grade B/C)の発生頻度は,105例中13例(12.4%)であった.また,術後合併症については,全体で31例(29.5%)であり,Clavain-Dindo Grade III以上の合併症は,11例(10.5%)であった.術死・在院死(90日以内)は認めなかったが,再手術が必要であった症例を2例(1.9%)に認めた.ロジスティック解析の結果,240分以上の手術時間(P = 0.009, odds ratio 6.2)と ステープルラインの出血あり(P = 0.006, odds ratio 8.6)が,リンフォース トライステープルを用いて膵切離を行った際の,臨床的膵液瘻発生の独立したリスク因子であった.
【結語】本試験における,臨床的膵液瘻の発生率は12.4%と仮説(6%)よりも高く,DPにおけるリンフォース トライステープルの使用は,臨床的膵液瘻の発生を減少させなかった.
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