演題

RS1-47-16-2

腹腔鏡下噴門側胃切除術後ダブルトラクト再建における吻合法の工夫

[演者] 梅本 一史:1
[著者] 海老原 裕磨:1, 田中 公貴:1, 斎藤 崇宏:1, 京極 典憲:1, 倉島 庸:1, 村上 壮一:1, 七戸 俊明:1, 平野 聡:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅱ

【背景】
腹腔鏡下噴門側胃切除術(LPG)は胃上部早期癌に対して適応され,切除後再建法としてはダブルトラクト再建(DTR)が多く行われている.同法は食物が残胃を通過することによる栄養学的利点や,ダンピングのような短期合併症の減少,胃切除後貧血の予防や逆流性食道炎の減少といった長期合併症予防の観点において,食道残胃吻合法や空腸間置法に比べて有利であるとされる.しかしながら,食物が残胃より挙上空腸方向に流出した場合,残胃の温存効果が不十分となるため,食物をいかに残胃方向に流入させるかがダブルトラクト再建法における重要な課題である.

【方法】
2011年1月から1016年8月の間に当教室にて施行したLPG 10例の病理学的因子,手術・周術期因子を後方視的に検討した.また,再建法をビデオにて供覧する.吻合はすべて自動縫合器を用いて体腔内吻合を行っている.空腸をTreitz靭帯から20cmの位置で切離して挙上し,食道断端に機能的端々吻合を行う.次に食道空腸吻合部より20cm肛門側の空腸に腸間膜対側を残胃大弯に吻合するが,この際に残胃と挙上空腸をそれぞれ背側に30度捻って吻合を行う.これにより,空腸と吻合部は残胃腹側に騎乗するように位置することになる.さらに残胃空腸吻合部の20cm肛門側で空腸-空腸側々吻合を行うと,肛門側空腸は腸間膜の牽引により左側・頭側に挙上され,食物が空腸側に流れにくい形態となる.

【結果】
手術時間は中央値285(146-440)分であり,開腹に移行した症例はなかった.病理組織診断は全症例でpT1N0M0 stage IAであった.術後経過の中で2例に軽度の逆流症状を認めたがPPI投与により改善し,その他の合併症は認めなかった.また,術後の消化管造影検査で,造影剤の残胃への良好な流出が確認できた.

【結論】
DTRでは空腸―残胃吻合法や空腸―空腸の吻合の工夫により,残胃に食物が流れやすい再建が可能である.
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