演題

癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ由来のIL-8はヒト食道扁平上皮癌の運動能および浸潤能を促進する

[演者] 細野 雅義:1,2
[著者] 東野 展英:1,2, 西尾 真理:2, 重岡 学:2, 狛 雄一朗:2, 横崎 宏:2, 掛地 吉弘:1
1:神戸大学大学院 食道胃腸外科学, 2:神戸大学大学院 病理学講座 病理学分野

癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophage; TAM)は癌の進展に関与する.これまでに我々は,ヒト食道扁平上皮癌(ESCC)組織においてCD204陽性TAMの浸潤数が多いほど予後が増悪することを明らかにした.しかし,TAMによるESCCの進展メカニズムの詳細は不明である.そこで,先行研究として,ヒト末梢血単球由来マクロファージ(Mφ)にESCC細胞株の培養上清を添加してTAM様Mφを作製し,MφとTAM様Mφとの間でcDNAマイクロアレイ解析を行った.本研究ではMφと比較しTAM様Mφで高発現する遺伝子群のうちinterleukin-8(IL-8)に注目した.IL-8はCXCケモカインの1つで,CXCR1/CXCR2受容体を介して種々の癌の進展に関与する.まず,TAM様MφにおいてIL-8の発現および分泌が亢進していることを確認した.次に,ESCC細胞株にCXCR1/CXCR2が発現していることを確認した.rhIL-8をESCC細胞株に添加するとAktおよびErk1/2経路のリン酸化を介して運動能および浸潤能を亢進させた.PI3K,MEK1/2シグナル阻害薬またはCXCR1/CXCR2の中和抗体を用いると,IL-8に誘引された運動能および浸潤能は抑制された.TAM様MφとESCC細胞株を間接共培養すると,ESCC細胞株の運動能および浸潤能を亢進させたが,PI3K,MEK1/2シグナル阻害薬またはCXCR1/CXCR2/IL-8の中和抗体を用いると,TAM様Mφに誘導される運動能および浸潤能は抑制された.以上よりTAMから分泌されるIL-8は運動能および浸潤能を亢進させ,ヒト食道扁平上皮癌の進展に寄与する可能性が示唆された.
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