演題

RS1-44-16-2

腹腔鏡下幽門側胃切除B-Ⅰ・Delta shaped anastomosisのpitfall

[演者] 安本 明浩:1
[著者] 徳村 弘実:1, 片寄 友:1, 西條 文人:1, 松村 直樹:1, 野村 良平:1, 武藤 満完:1, 澤田 健太郎:1, 千年 大勝:1, 佐藤 馨:1
1:東北労災病院 外科

【はじめに】デルタ吻合についてはB-Ⅰ再建の体腔内吻合として代表的な再建法であるが,いくつかpitfallが存在する.当院では2007年より2015年までにデルタ吻合による腹腔鏡下幽門側胃切除を238例施行したが,Clavien-Dindo分類GradeⅢ以上の吻合部関連合併症は吻合部出血1例(0.4%)のみ,GradeⅡの合併症として6例(2.5%,吻合部狭窄3例,縫合不全2例,胃排出遅延2例)を認めた.以上の手術経験より得られたpitfallと当院での手術手技について以下に述べる.
【手術手技とpitfall】残胃の可動性をチェック,残胃周囲の癒着により可動性が制限される場合は癒着を剥離する.前後方向で切離された十二指腸と胃十二指腸動脈の間を剥離して,十二指腸の可動性を得るが,十二指腸が2cm露出される程度にとどめる.剥離しすぎる(3cm以上)と十二指腸の血流不全が強く懸念され,術後吻合部狭窄,縫合不全の発生が危惧される.残胃大弯側切離断端と十二指腸後壁断端のステープルを切離して,それぞれ小孔をあける.リニアステープラー45mmのカートリッジ側を残胃に挿入し膵上縁をすべらすように十二指腸に近づけていき,フォーク側を十二指腸に挿入し,ファイヤーする.この際の十二指腸へのリニアステープラーの挿入は腹腔鏡観察とともに手の触覚を活用し,慎重に行う.ステープラーを把持し挿入することで得られる抵抗感の変化を感知することにより胃十二指腸の損傷を回避できると考えている.共通孔については手縫い,ヘルニアステープラーによる仮閉鎖があるが,当院ではヘルニアステープラーによる仮閉鎖を行っている.特に共通孔の尾側については残胃漿膜と十二指腸漿膜が落ちないように注意して行っている.共通孔の閉鎖はリニアステープラーを2発用いて行っている.60mmのリニアステープラーであれば1発で閉鎖も可能であるが,確実に残胃十二指腸壁の全層縫合を行うことを目的として2発用いている.
【結語】デルタ吻合は短時間で行える簡便性があり,安定した術後成績が期待できるが,ピットフォールも存在する.術者,助手,スコピスト3者の手技への共通理解が必要であり,また,術者助手の操作における触覚の鋭敏性が求められる手技であると考える.そのため,デルタ吻合を安全に導入するためには,十分な事前トレーニング,手術チームでの綿密なミーティング,シュミレーションが必要と考える.
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