演題

SY06-1

膵切除後の膵液瘻減少を目指したドレーン管理

[演者] 川井 学:1
[著者] 廣野 誠子:1, 岡田 健一:1, 宮澤 基樹:1, 清水 敦史:1, 北畑 裕司:1, 小林 良平:1, 上野 昌樹:1, 速水 晋也:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室

【背景】術後合併症を減少させるための膵頭十二指腸切除術後の適切なドレーン管理はいまだ議論が多い.
【膵液瘻の長期予後】多施設共同研究によって膵癌術後患者において膵液瘻が予後に及ぼす影響を検討した.
【術後ドレーン管理】ドレーン長期留置は逆行性感染や内因性感染の原因になる危険性がある.術後感染症予防のためのドレーン早期抜去の意義を検討した.ドレーン留置期間に関する前向き研究(ドレーン術後8日目抜去群vs.術後4日目抜去群)を行い,ドレーン長期留置は腹腔内感染の危険因子(オッズ比6.7)となりドレーン早期抜去の必要性を証明した.生存期間中央値は no fistula/grade A, grade B およびgrade C はそれぞれ23.6,26.0 ,9.0 ヶ月であった. 膵液瘻grade C を合併した生存期間はgrade Cを合併しない場合より有意に予後不良であった (P<0.001). コックス比例ハザードモデルでは膵液瘻grade Cは独立した予後不良因子であった(hazard ratio 1.59; 95% confidence interval 1.03-2.45; P=0.035).
【膵液瘻重症化因子】膵液瘻重症化因子を明らかにするために11施設による多施設共同研究によって膵頭部切除1239例をretrospectiveに検討した.膵液瘻の重症化を検討するために,A群1061例:膵液瘻(-)+Grade A とB群178例:Grade B+Cに分類比較した.術後1日目排液アミラーゼ値はA群2,323±7,339IU/L,B群18,845±37,287IU/L (P<0.0001 )であり,ROC曲線によって膵液瘻重症化のカットオフ値を4,000IU/L (AUC:area under the curve 0.841,感度62%,特異度88%) と設定した.単変量解析によってBody Mass Index(BMI)25以上,糖尿病合併,腎機能障害合併,手術8時間以上,出血量1,000ml以上,soft pancreas,術後1日目排液アミラーゼ値4,000IU/L以上に有意差を認めた.多変量解析をした結果,糖尿病合併(P=0.019,オッズ比1.98),腎機能障害合併(P=0.039,オッズ比2.96),出血量1,000ml以上(P=0.011,オッズ比2.01),soft pancreas(P<0.0001,オッズ比2.70),術後1日目排液アミラーゼ値4,000IU/L以上(P<0.0001,オッズ比8.54)が独立した膵液瘻重症化因子であった.
【結論】膵液瘻gradeCは膵切除後の予後不良因子である.膵頭十二指腸切除術後ドレーンは膵液瘻などの術後合併症を減少させるために早期抜去が必要である.しかし,術後一日目の排液アミラーゼ値は術後ドレーン管理の層別化のために重要な因子である.
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