演題

RS3-119-7-5

進行胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘+脾臓合併切除術

[演者] 宮本 匠:1
[著者] 山下 好人:1, 伊東 大輔:1, 上野 剛平:1, 野間 淳之:1, 細川 慎一:1, 横山 智至:1, 米永 吉邦:1, 一宮 正人:1, 宇山 志朗:1
1:和歌山医療センター 外科部

【背景】JCOG0110 の結果により大弯に浸潤していない上部進行胃癌に対する胃全摘術においては,脾温存のD2-No.10 郭清が標準術式とされるようになったが,大弯病変に対しては,脾摘を伴うD2 郭清が現在も標準術式である.しかしながら,脾摘は脾温存に比べて膵液漏などの合併症が増加する.当科では上部進行胃癌に対しても積極的に腹腔鏡下手術を行っているので,今回は腹腔鏡下胃全摘+脾臓合併切除術の工夫について述べる.
【手術】この術式の適応となる腫瘍は進行していることが多いため,可能な限り腫瘍に触れずに胃切除を行う必要がある.腫瘍近傍の胃壁を鉗子で把持したり,器具で腫瘍に不用意に接触することを避けなければならない.しかしながら,操作で最も重要なことは緊張のかかった術野展開を行うことであるため,Organ retractor により体外から胃壁を吊り上げたり,カイメンを用いて胃壁を腹側に挙上し,術野展開を行っている.また,ガーゼを多用して常に術野をドライに保つことが,剥離可能層の認識や解剖学的誤認を防ぐために必要である.操作手順としては大網切離を左側へ行い,胃を腹側に挙上して胃脾間膜を衝立状に展開する.膵尾部で脾動静脈を露出し,末梢側に剥離操作を進めて膵尾動静脈を温存するラインで枝分かれした脾動静脈を順次クリッピング切離する.次いで脾臓を後腹膜から十分授動し左側の手技は終了する.幽門下リンパ節郭清,十二指腸切離,No.12リンパ節郭清,膵上縁リンパ節郭清,噴門周囲のリンパ節郭清の後に,腹部食道を切離し,最後にNo.11pから11dのリンパ節郭清を行う.助手の膵転がしによる術野展開では直接,膵臓を押さえつけないよう注意する.No.11p,11dのリンパ節郭清時には助手が脾動脈周囲の神経束を把持して,脾動脈を転がしたり直線化することで術野展開する.臍部の小切開創から標本を摘出後,完全鏡視下に食道空腸吻合を行う.再建方法はoverlap吻合またはCircular Staplarを用いた吻合(かがり縫いによる巾着縫合)で行っており,食道浸潤症例も経裂孔的アプローチで下縦隔のリンパ節郭清と再建を行っている.
【結論】脾臓合併切除が必要な上部進行胃癌においても術野展開ならびに手術操作の定型化をはかることで,膵液漏などの合併症も減少し,腫瘍学的にも安全な手術が行えるようになったと考えている.
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