演題

SY05-12

Hanging maneuverを併用した前方肝切除は大型肝細胞癌の予後を改善する

[演者] 別府 透:1,2
[著者] 今井 克憲:1,2, 奥田 康司:1, 江口 晋:1, 北原 賢二:1, 谷合 信彦:1, 上野 真一:1, 調 憲:1, 馬場 秀夫:2, 藤岡 ひかる:1
1:九州肝臓外科研究会, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

【目的】大型肝細胞癌に対する前方アプローチによる肝切除の有用性が報告されているが,hanging maneuver併用の効果については未だ不明である.今回,hanging maneuverを併用した前方アプローチによる右系肝切除 (ARH-HM)の有用性を,肝授動後に肝切離を行う従来の右系肝切除 (CRH)と比較検討した.【方法】九州肝臓外科研究会の多施設共同研究として,2000年1月から2012年12月までの5cm以上の肝細胞癌切除例 306例 (ARH-HM 104例,CRH 202例)を登録した.Hanging maneuver非施行例や肝授動後のhanging maneuver症例は除外した.背景因子の偏りをなくすために術前因子と病理学的因子の傾向スコアによるマッチングを行った.
【成績】各群72例のARH-HMとCRHが選択された.傾向スコアによるマッチング後のARH-HM群とCRH群の比較で,1. 臨床病理学的な背景因子に差を認めなかった.2. 術中出血量 (480 g vs. 1242 g,P < 0.001)と赤血球輸血頻度 (21.1% vs. 50.7%,P < 0.001) はARH-HM群で有意に低値であった.3. 手術時間,Clavien-Dindo III以上の合併症頻度,手術関連死亡率は同等であった.4. 無再発生存率は両群で同等であったが,全生存率はARH-HM群で有意に良好であった (5年50.2% vs. 31.4%,P = 0.021).5. 5cm ≤肝細胞癌< 10cm では,無再発生存率と全生存率に差を認めなかった.6. 10cm以上の肝細胞癌では. 無再発生存率 (5年:16.6% vs. 10%,P = 0.049) ,全生存率 (5年:44.7% vs. 23.4%,P = 0.005) ともにARH-HM群で有意に良好であった.
【結論】従来のCRHと比較してARH-HMでは,出血量や赤血球輸血頻度の軽減と全生存率の改善を認めた.特に再発の軽減や長期生存の改善効果は10cm以上の肝細胞癌で期待される.
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