演題

RS3-118-7-4

郭清すべき組織の可動性向上を目指した3Dシミュレーションの導入

[演者] 大内田 研宙:1,2
[著者] 永井 英司:1, 森山 大樹:1, 進藤 幸治:1,2, 真鍋 達也:1, 大塚 隆生:1, 清水 周次:1, 橋爪 誠:2, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学, 2:九州大学大学院 災害・救急医学

我々は膵上縁郭清における個別化アプローチをすすめてきた.基本コンセプトは通常の内側アプローチに準じてお 我々は膵上縁を含む胃癌の郭清手技において郭清すべき組織の可動性向上の重要性に焦点をあてて報告を行ってきた.基本コンセプトは通常の内側アプローチに準じており,胃膵ヒダを左右に分離して左右のヒダの可動性をそれぞれ確保後とるべきリンパ組織を挙上して郭清する.この左右のヒダの可動性確保のための手順として主に3つのアプローチ法(右側,左側,LGA先行切離内側)を定型化している.右側アプローチはLGA右側にスペースを先行作成,右ヒダの可動性を確保し,連続する12a, 9番右側などを郭清後,LTGを切離し左ヒダの可動性を確保する.左側アプローチはLGA左側のスペースを作成し,左ヒダの可動性を確保し連続する11pなどを郭清後,LGAを切離,右ヒダの可動性を確保する.LGA先行切離内側アプローチは,通常の内側アプローチである.これらのアプローチ選択は術中のそれぞれの局面で胃膵ヒダの可動性を制限する最も緊張がかかる構造物を認識し,それを先行して剥離切離することで決定されていく.
一方,画像解析ソフトの普及に伴いシミュレーションが容易となってきた.現在,われわれも胃癌手術の術前3Dシミュレーションを日常診療として行っている.このシミュレーションでは主要血管や膵臓を腹腔鏡の視野と同様の角度で観察でき,術中の視野を容易にイメージし,直感的に術中と同様の判断を術前に行うことができる.現在,我々はLTG,LDG症例を対象に3Dシミュレーションを行い,郭清すべき組織の可動性向上に役立ててきたが,この直感的な判断は,術者の経験に依存していた.一方,術中所見と異なり3Dシミュレーションは血管や臓器間の実際の距離や角度を測定できるため,手技の意思決定に必要とされる測定可能な解剖学的評価ポイントを設定することで客観的な指標となるデータを蓄積可能である.これにより術者の経験に依存しないより客観的な指標を特定できる.現在までに110症例で3D シミュレーションにより腹腔動脈の走行方向やLGAの分岐位置,膵実質と周囲の主要血管との相対的距離や角度,位置関係に関する客観的データを蓄積してきた.今回,術前シミュレーション画像とともに個別の客観的指標に基づき手術手技を工夫した手術動画を提示し,術前に立体構造的に個別解剖を理解する意義に関して報告する.
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