演題

RS3-118-7-2

迷走神経の切離と背側胃間膜の腸間膜化を先行した膵上縁リンパ節郭清

[演者] 尾崎 岳:1
[著者] 稲田 涼:1, 三木 博和:1, 大石 賢玄:1, 向出 裕美:1, 道浦 拓:1, 繁光 薫:1, 井上 健太郎:1, 權 雅憲:2, 濱田 円:1
1:関西医科大学附属病院消化管外科, 2:関西医科大学医学部 外科学

【はじめに】膵上縁リンパ節郭清は,左胃動脈の神経束の左右を十分に剥離した後にNo. 8a, No. 11の郭清を行う,いわゆる"内側アプローチ"で行われることが多い.我々は,膵上縁リンパ節郭清に先行して頭側からのアプローチをすることにより,迷走神経切離と背側胃間膜の腸間膜化を行っている.これにより,膵上縁リンパ節の受動が容易となり,より安全確実にen block郭清が可能となったので,その方法を述べる.
【方法】手術は5ポートにて施行.術者は患者右側(No. 6郭清時は左側),助手は患者左側(No. 6郭清時は右側),スコピストは患者脚間に位置し手術を行う.ペンローズを用いて肝挙上を行い,No. 4sb,No. 6を郭清.十二指腸切離後に,総肝動脈,固有肝動脈を露出,同定し,右胃動静脈を根部にて処理,No. 5を郭清する.次に,小網の切開を行い,横隔膜右脚を同定する.その際,助手が胃壁小弯前壁を把持し,胃を左方尾側に牽引することにより,横隔膜右脚の視野を展開する.胃背側と横隔膜右脚の癒合部を剥離し,背側胃間膜とGerota筋膜間との癒合部(Toldt fascia) をGerota 側で剥離を進める.剥離した空間にバンディングレトラクター(レトラクター部の可動性があり,角度の調節可能)を挿入し,背側胃間膜を腹尾側に牽引する.これにより,腹部食道が直線化され,かつ,視野が良好に保たれることにより,Gerota筋膜と背側胃間膜が視認しやすくなる.腹部食道が直線化された状態でNo. 1の切離ラインを決定し,迷走神経前幹,後幹を切離する.この操作によって胃の受動性が増し,胃背側の視認性が良くなるため,膵上縁のリンパ節郭清の操作が更に容易になる.その後,背側胃間膜の剥離を尾側に向かって進め,膵背側が確認できるまで剥離を行っておく.腸間膜化された背側胃間膜の頭側,胃の背側,Gerota筋膜の腹側でできたスペースにガーゼを留置しておく.次に,内側アプローチにて,留置したガーゼをメルクマールに腹腔動脈神経叢の両側を剥離し,左胃動脈を処理する.この操作により,No. 8aとNo. 11はen blockに郭清可能となる.
【まとめ】迷走神経の切離と背側胃間膜の腸間膜化を先行することにより,膵上縁のリンパ節郭清を安全確実に施行することができると思われる.
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