演題

RS3-117-7-2

腹腔鏡下胃切除における超音波凝固切開装置の使用法のコツ 特にリンパ節郭清について

[演者] 川村 秀樹:1
[著者] 大野 陽介:1, 市川 伸樹:1, 吉田 雅:1, 本間 重紀:1, 武冨 紹信:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ

【はじめに】胃癌に対する腹腔鏡下胃切除では超音波凝固切開装置が多用されるが,円滑に手術を遂行するためには,その特性を理解した使用法は重要である.当科での超音波凝固切開装置の操作における基本的な考え方とリンパ節郭清における応用について動画を用いて解説する.【方法】超音波凝固切開装置での切離において,切離部位の状況に応じて大きく2つの場合に分けて考えて使用している.1.超音波凝固切開装置の向きと切離面が平行でない場合:超音波凝固切開装置先端でキャビテーションによる損傷が懸念される場面である.非優位側鉗子の把持位置は切離部位のごく近傍となり,切離予定の線維や膜を浮かすような動きが必要である.また浮かすことができている線維や膜のみが切離可能であるため超音波凝固切開装置による切離のストロークは短い.2. 超音波凝固切開装置の向きと切離面が平行である場合:超音波凝固切開装置先端でのキャビテーションによる損傷の懸念がない.よって非優位側鉗子の把持位置は切離予定の面にテンションを与えるだけでよいため,切離予定面の大きさに依存するが非平行面の切離の場合より比較的遠くなる.この場合,ティシューパットをわずかに挿入した切離しかできない場合は,先端で層がずれていたり,血管があたっている可能性があるので超音波凝固切開装置による切離のストロークは長いほうがむしろ安全である.【結果】2013.4-2016.12までに施行した腹腔鏡下胃切除は98例であった(LDG61例,LTG37例).手術成績は手術時間はLDGでは239.4±56.6分(中央値236分),LTGは283.5±71.6分(中央値269分).出血量はLDGで46.1±62.9ml(中央値22ml),LTGで118.3±143.9ml(中央値50ml).術後合併症のうちリンパ節郭清に伴うものとして膵液漏が重要であるが,膵液漏は1例(1%;C-D分類Grade2,電気メスによる熱傷)であった.そのほかの合併症はGrade2の縫合不全1例(1%;食道空腸吻合),Grade2の腹腔内膿瘍1例(1%)であった.【結語】超音波凝固切開装置の特性を考えた使用方法により円滑に腹腔鏡下胃切除を遂行することや術後合併症を少なくするための重要なポイントの一つである.
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