演題

RS3-116-7-5

進行胃癌に対する腹腔鏡下手術の視野展開の工夫

[演者] 砂川 秀樹:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 藤田 武郎:2, 大幸 宏幸:2
1:国立がん研究センター東病院 胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【はじめに】早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除は広く浸透し定型化され,昨今助手の展開がmajor topicとなることは少ない.一方,胃全摘や進行癌症例に対しては,食道空腸吻合やリンパ節郭清の困難さ故に未だ一般化されているとは言い難く,また腫瘍容積によって制限される視野展開や,個体差の大きい脾動脈遠位部郭清の展開等に工夫を要するため,助手の重要度は増す.【目的】当科で施行している腹腔鏡下胃切除リンパ節郭清時の助手による場の展開を提示し,特に胃全摘症例や進行癌症例での工夫点を動画で供覧する.【ポイント】当科では,腹腔鏡下胃切除手術において妥協のない場面展開を心がけている.以下に,当科での助手の役割を要約する.①展開:助手は,術者と強調して三角形で展開することを基本とし,それを微調整して切離ラインとデバイスの軸を合わせるよう意識している.また,4本の鉗子とスコープの相互干渉を意識し,適切な部位を把持するよう心がける.郭清したリンパ組織や切除した大網組織などは,術野に落ち込むことで視野の妨げとなるので,頭側に落とし込む工夫をする.脾門部周囲など,奥まった術野での展開には左側頭高位にし,重力を有効活用した体位変換を行う.②膵転がし:膵臓の圧排は,単に切開腹膜に緊張をかける目的のみでなく,切離ラインとデバイス軸とを合わせる目的や複雑に蛇行した脾動脈に緊張を与える目的でも行っている.膵臓は,ガーゼで愛護的に圧排するよう意識しているが,常に力加減を意識し,適度に脱力するように心がけている.脾動脈遠位部での場面展開では,ガーゼで圧排するだけではなく,時には動脈周囲の神経を把持することもある.③臓器損傷予防:膵周囲等でエナジーデバイスを使用する際には,デバイスからの熱損傷が温存臓器に加わらないよう,組織を愛護的に圧排し距離を確保する.【まとめ】適切な展開をするにためには,適切な場所を適切な力で適切な方向に把持・牽引する事が重要である.特に進行癌症例に対するリンパ節郭清時の場面展開は,早期癌に対する場合と比較して熟練を要し,定型化の範疇を超えた症例毎の臨機応変な工夫が必要である.
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