演題

RS2-73-11-6

腹腔鏡下幽門保存胃切除における6番リンパ節郭清

[演者] 藤田 逸郎:1
[著者] 柿沼 大輔:1, 金澤 義一:1, 松野 邦彦:1, 櫻澤 信行:3, 萩原 信敏:1, 松谷 毅:1, 牧野 浩司:2, 野村 務:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科, 2:日本医科大学多摩永山病院 消化器外科・乳腺外科・一般外科, 3:日本医科大学千葉北総病院 外科

【はじめに】
腹腔鏡下幽門側胃切除(LAG)は,臨床試験としての位置づけながらステージⅠA早期胃癌に対する有効な治療法として推奨されている.
ステージⅠAは手術による完治が期待される症例であり確実なリンパ節郭清(根治性の担保)が求められるが,LAGにおけるリンパ節郭清手技は既に定型化され広く実施されている.
一方で機能温存が期待されるPPGでは,幽門下領域のリンパ節をen blocに郭清するLAGと異なり,IPA,IPVを温存し郭清する必要がある.
IPAの走行・分枝にはvariationが多くみられる.またantral cuffのうっ滞を回避するうえでIPV温存が重要と考えるが,IPVはRGEVへの合流が低位のものやASPDV合流などvariationが多くみられ郭清において注意を要する.
ところでIPA,IPVはいわゆる「下十二指腸間膜」内に存在するとされる (篠原).
PPGにおける6番郭清最大のポイントであるIPA,IPVの温存は「下十二指腸間膜の温存」としてとらえることができ,RGEA第一分枝の先行切離により温存すべき「下十二指腸間膜」と郭清すべきRGEA,RGEVのpedicleの展開が容易になると考えている.
当科におけるLAPPGにおける幽門下領域におけるリンパ節郭清手技を供覧する.
【適応】
ML領域を主座とするcT1N0 ,antral cuffとして4-5cmを想定し,肛門側マージンがこれを満たす症例をPPG の適応としている.
【郭清の手順とポイント】:
① RGEV展開:6番の下限であるASPDVを確認,RGEVを末梢側に展開し6vを郭清する.IPVは分枝形態を探る程度に留める.
② RGEA展開:幽門後面での剥離を進め,GDA,RGEA,ASPDAの分枝を明らかにする.
③ 下十二指腸間膜の展開:RGEAの第一分枝(6a最終)を胃壁から切離しRGEAを尾側に回外する.これにより温存すべきIPA pedicleを含む下十二指腸間膜と郭清組織がY字展開され,郭清境界が明瞭化する.
④下十二指腸間膜とRGEA pedicleとの境界で切離し6a郭清する.
【考察】
①IPA,IPVの走行にはvariationが多く個々の脈管の温存は容易ではない.さらに同部リンパ節(6i)は6a,6vに含まれず郭清は不要であり,「下十二指腸間膜」として温存することは合目的と考える.
②RGEA第一分枝先行切離によるY字展開は,「下十二指腸間膜」の展開を容易にし,郭清境界を明らかにすることから定型化に有効と考える.
【結語】RGEA第一分枝先行切離によるY字展開,下十二指腸間膜温存によるリンパ節郭清は,PPGにおけるリンパ節郭清の定型化に有用と考える.
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