演題

RS1-23-11-6

解剖学的に細分化(no.6a,6v,6i)した上で考える腹腔鏡下幽門下リンパ郭清

[演者] 春田 周宇介:1
[著者] 田中 毅:1, 小林 直:1, 大倉 遊:1, 水野 文:1, 上野 正紀:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

【はじめに】
胃癌手術において6番リンパ郭清は転移頻度からも重要な領域である.我々はこの領域を解剖学的に3つの領域に分けてとらえることで,過不足のないリンパ郭清が安全に施行できると考えてきた.この3領域(no.6a,6v,6i)の解剖学的特徴を考察し,郭清手技を供覧する.
【細分化したno.6領域】
・no.6a RGEA根部からRGEA大弯第1枝までの領域で,胃間膜の一部としてRGEA根部処理にて郭清が可能である.
・no.6i 幽門下動静脈(IPA/V)により作られる幽門下腸間膜の領域で,IPAの根部処理にて郭清が可能である.このIPAは23.1%がRGEAから分岐し,76.9%がRGEAとは別に分岐(ASPDA分岐64.2 % ,GDA分岐12.7%)していることをこれまでに報告してきた.
・no.6v RGEV周囲の膵前面の脂肪織の領域である.このRGEV周囲の脂肪織は膵表面に広がっており,no.6a,no.6iのように胃に向かう動脈による明瞭な領域としては認識できない.解剖学的にこの領域は十二指腸間膜内の脂肪織と考えられる.この領域内でASPDVは膵・十二指腸の辺縁静脈として膵に密着して走行し,胃から流入するRGEV,IPVはやや浮かび上がって存在していると考えられる.このことから,no.6vの郭清に際しては膵前面の疎性結合織の層である剥離可能層にて膵とno.6v脂肪織の間を剥離してno.6vを背側から浮かび上がらせ,内側,外側縁はRGEVを中心として弧状の範囲を郭清することとなるであろう.この際外側縁は膵に密着しているASPDVの十二指腸第1分枝が一つのメルクマールとなると考えている.
【郭清手技の実際】
当科でのno.6リンパ領域の郭清の実際を解説する.結腸間膜を十分にテイクダウンし,RGEV右側で大網をfusion fasciaの層で剥き上げRGEV根部を同定する.十二指腸背側で膵前面の剥離可能層を同定し,その層を保ってRGEA根部を認識し,そのまま膵とno.6v背側の脂肪織の間の剥離可能層を広く剥離する.no.6vを膵から浮かび上がらせたうえでRGEVを根部で切離しその層を保ちつつASPDV上縁から第1分枝に沿ってno.6vを郭清する.no.6v郭清を終えた後,RGEA根部切離してno.6aを郭清,IPAを根部切離してno.6iを郭清し,no.6郭清を終える.
【おわりに】
胃癌手術におけるno.6リンパ領域は複雑な構造をしているが,解剖学的に3領域に分けてとらえることで安全な郭清が可能となると考える.その特徴を考察し,実際の手技を提示した.
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