演題

RS1-23-11-3

腹腔鏡下胃癌手術における幽門下リンパ節郭清~当院での定型化を目指した取り組み

[演者] 岩松 清人:1
[著者] 緒方 杏一:1, 矢内 充洋:1, 高橋 研吾:1, 木村 明春:1, 生方 泰成:1, 桑野 博行:1
1:群馬大学附属病院 消化器外科

当院では近年,ナンバー外科体制が撤廃され,臓器別に再編されたチームで診療を行っている.当然手術の現場でも手順や作法などに多くの相違点がみられる.しかしながら今後は異なる流儀を融合して,より質の高い手術手技を確立することは必須である.今回は,手術手技の定型化を目指して現在われわれが行っている取り組みについて報告する.また,具体的な手技として腹腔鏡下胃癌手術における幽門下リンパ節郭清について報告する.
定型化を目指した具体的な取り組みとして,まず詳細な手術のプロトコール作成を行った.手術操作を細かく分解し,より詳細な言語化を行った.ビデオやスライドを作成して勉強会を定期的に行い,共通認識を定着させることも重要と考える.また,エキスパート手術から学ぶために他施設への見学も積極的に行っている.手術手技の定型化が手術の質を高め治療成績向上につながることを期待している.
具体的な手技として,腹腔鏡下胃癌手術における幽門下リンパ節郭清について,われわれが作成したプロトコールを報告する.術者の立ち位置は患者左側とした.まず,助手の2本の鉗子で大網をマタドール展開し,術者左手鉗子との三角展開を意識して大網を右側へ切開し十二指腸に到達する.次に右胃大網静脈を求める前に,十二指腸球部下縁で漿膜のみ切開しておく.後に行うNo.6i郭清時に十二指腸が吊り上がらず剥離が容易になるメリットがあると考えている.再度術野を展開した後に,No.6郭清組織と結腸間膜との境界を見極め,結腸間膜をtake downし,いわゆる「ねじれ中心」を露出する.ここまでは「郭清の準備」と位置付けた.前上膵十二指腸静脈の分岐を確認し,副右結腸静脈は極力温存し,右胃大網静脈を切離する.膵頭部前面の剥離可能層で郭清をすすめ,内側から胃十二指腸動脈の走行を確認した後に,右胃大網動脈を根部で切離する.幽門下動脈も切離し膵頭部からNo.6iリンパ節を剥離して,十二指腸下縁をトリミングし,幽門下リンパ節郭清を終了する.「展開なくして切開しない」をモットーに,場面に応じた視野展開のための助手の把持する位置や牽引方向についてもより具体的に言語化して周知するよう徹底している.
手術手技の定型化は,チーム内に閉塞感をもたらすものではなく,困難症例でも突破するためのツールになることを期待している.現在われわれが行っている取り組みについてビデオを含めて報告する.
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