演題

RS2-100-16-3

胃粘膜下腫瘍に対するLECS導入の意義と安全かつ簡便に行うための手技の創意工夫

[演者] 大橋 拓馬:1
[著者] 小松 周平:1, 市川 大輔:1, 小菅 敏幸:1, 岡本 和真:1, 小西 博貴:1, 塩﨑 敦:1, 藤原 斉:1, 土肥 統:2, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学附属病院 消化器外科, 2:京都府立医科大学附属病院 消化器内科

【背景と目的】胃粘膜下腫瘍に対する laparoscopy and endoscopy cooperative surgery(LECS, Hiki N. Surg Endosc 2007)は,消化管壁の過剰な切除を避け,臓器の形態や機能の保持を可能とする極めて優れた術式である.今回,当院の胃粘膜下腫瘍に対するLECS導入の意義を明らかにし,安全かつ簡便に行うための手技の工夫を供覧したい.
【対象】当院では2010年にLECSを導入した.LECS導入前後の検討として2005年から2015年に当院で根治手術を施行した胃粘膜下腫瘍連続62例を対象とした.そのうちLECSを施行した症例は33例であった.【結果】1) 胃LECS導入前と比べ,LECS導入後にwedge resection, gastrectomyの頻度が減少し,特にU領域腫瘍やEG junction近傍の腫瘍にLECSが施行されていることが多かった.LECSはwedge resectionと比べ有意に出血量及び手術時間が減少し,入院期間が短かった.2群間で合併症の発症に有意な差は認められず,LECSは安全に施行されていると考えられた.2) 当施設におけるLECSを安全に施行する手技の工夫として,正確な腫瘍のマーキング,内腔発育型に限らない全周性内視鏡的粘膜切開,変形の少ない縫合軸の選択,縫合始点・終点の牽引糸を置くこと,を行っている.3)特に噴門部あるいは噴門部近傍の粘膜下腫瘍には,胃の形状・機能の温存が可能であるLECSの有用性が最も生かされると考えられるが,緊張による縫合不全・狭窄・逆流性食道炎発症の危険性があり,予防のため適宜手縫いの追加,逆流防止手技の追加が必要であると考えている.4)胃液の腹腔内漏出による医原性腹膜播種などの危険性がある症例には積極的に漿膜非開放LECSも施行している.具体的な手技として鏡視下スポンジを漿膜側から腫瘍部にあてて胃壁を埋没連続縫合及び漿膜筋層縫合で閉鎖し,内視鏡下に腫瘍を全層切除・回収している.【総括】胃粘膜下に対するLECSは極めて有用である.腹腔鏡あるいは内視鏡手技のみでは腫瘍学的リスク,合併症リスクを伴う腫瘍に対し,LECSを応用することで腹腔鏡・内視鏡の双方の利点を生かした低侵襲で安全な治療が可能である.
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