演題

RS2-99-16-5

食道胃接合部近傍の胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡下手術症例の検討

[演者] 登内 晶子:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 砂川 秀樹:1, 杉田 静紀:1, 寺田 参省:1, 渡邊 将広:1, 藤田 武郎:2, 大幸 宏幸:2
1:国立がん研究センター東病院胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【背景】胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針にて,無症状かつ生検未診断の腫瘍径5cm以下の場合には,腹腔鏡手術を含めた相対的手術適応とされる.食道胃接合部(EGJ)近傍に存在するSMTに対しては,腫瘍径や局在,性状により切除方法が選択されるが,切除後に狭窄や,残胃変形・His角形成不全などによる逆流症状を来たす可能性がある.【対象・方法】2009年10月から2016年9月までに当科にて胃上部U領域に発生した胃粘膜下腫瘍に対し,腹腔鏡下切除を施行した32例(他臓器合併切除は含まない)について,周術期治療成績,臨床病理学的特徴について後方視的に検討した.連続変数は平均値で示した.【結果】性別は男/女:19/14例,年齢62.2歳.主占拠部位Ae/U:2/30例,術前腫瘍径は42mm,術前生検組織にて13例(41%)がGISTと診断された.術式は,腹腔鏡下胃局所切除25例,胃内手術4例,腹腔鏡下噴門側胃切除2例,腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除(LECS)1例であった.手術時間は128分,出血量は11mlであった.胃局所切除の内25例は自動縫合器を用いて切除した.EGJ直上まで腫瘍の進展を認めた4例に対して,胃壁の全層切開による腫瘍切除・縫合閉鎖を行い,うち2例に対して噴門形成(Toupet,Dor法)を追加した.術中内視鏡による噴門狭窄,残胃変形有無の確認を20例(63%)に施行した.術後短期合併症は縫合不全,皮下血腫をそれぞれ1例認め,術後在院日数は8日であった.術後観察期間中央値は12か月(0-71ヶ月)であり,逆流症状や通過障害などを認めた症例はなかった.腫瘍径は52mm,組織型はGIST/気管支嚢胞/平滑筋腫/他:27/2/2/1例で,GIST切除例のModified-Fletcher分類の高リスク群であった4例に対しては術後補助化学療法(Imatinib)が行われた.現在まで再発例は認めていない.【まとめ】EGJ近傍から胃体上部に発生したSMTに対する外科切除は,噴門部の変形や狭窄のリスクがあるが,噴門形成の程度を直接触診で確認できない腹腔鏡手術において術中内視鏡の併用がその予防に有用であると考えられた.また,EGJに進展する腫瘍で明らかな悪性所見を認めない場合には,胃壁全層切開による切除によって切除範囲を縮小することが可能となり,術後QOL維持に有用であった.
詳細検索