演題

RS2-99-16-4

当院における胃粘膜下腫瘍に対する腫瘍存在部位・発育形式に応じた腹腔鏡下胃部分切除術

[演者] 吉井 真美:1
[著者] 山本 篤:1, 岡崎 由季:1, 加藤 幸裕:1, 河本 真大:1, 阿古 英次:1, 金原 功:1, 西村 重彦:1, 山田 靖哉:1, 妙中 直之:1
1:住友病院 外科

近年,超音波内視鏡下生検などの内視鏡診断技術の向上により,胃粘膜下腫瘍に対する手術症例が増加している.胃粘膜下腫瘍は基本的に良性もしくは比較的低悪性度をしめすため,低侵襲治療である腹腔鏡下手術の適応となることが多い.胃粘膜下腫瘍は,腫瘍の大きさ,部位,発育形式が多種多様であり,さらに術後合併症が少なく胃機能を温存して軽微な術後症状となる手術が必要とされるため,それぞれの症例に応じた術式の工夫が重要となる.今回,われわれの胃粘膜下腫瘍に対する腫瘍存在部位・発育形式に応じた腹腔鏡下胃部分切除術についての詳細,ならびに実際の手術ビデオを供覧する.
まず,存在部位が胃体部で発育形式が壁外突出型のものは,存在部位の診断が容易で変形があまり問題にならないので,通常4ないし5ポートでの腹腔鏡下胃部分切除術を基本とするが,場合によってはReduced Port手術や単孔式手術で施行することも可能である.次に,存在部位が噴門または幽門近傍のものは,自動縫合器での腹腔鏡下胃部分切除では胃の余剰切除範囲が大きくなって,術後の変形が問題となり,術後狭窄をきたすことも危惧され,さらに逆流防止機構の維持も困難となり得る.したがって,このような症例では,腫瘍の位置を精密に判断し胃の切除範囲を最小限にとどめるために,腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)にて対応している.LECSにおいては,腫瘍全周にわたっての内視鏡下切除が困難な場合もあり,一部のみ内視鏡下に切除し,あとは腹腔鏡下に全周を切除するなど,柔軟に対応している.また,発育形式が壁内突出型のものは,存在部位の特定が困難であり,このような腫瘍はしばしば胃体上部に発生するので,切除の際には腹腔鏡下胃全摘と同様の術野展開が必要となり低侵襲性の観点から問題となる.そこでわれわれは,臍部創に胃瘻を作成して単孔式のアクセスポートをおいた胃内手術を選択し,全層切除にならないように注意して腫瘍切除を行っている.最後に,腫瘍を切除した後の胃壁の閉鎖においても,変形を最小限に抑えるためには手縫いによる縫合閉鎖が必要となることが多く,体内縫合結紮手技に習熟しておくことも必須である.
まとめ:胃粘膜下腫瘍に対する手術においては,それぞれの症例に応じた適切な術式,アプローチ法を選択することにより,機能を温存し低侵襲の手術が可能であると考えられた.
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