演題

RS3-161-16-3

胃壁伸展性の違いを意識した胃管作成デザインについて

[演者] 小池 聖彦:1
[著者] 神田 光郎:1, 小林 大介:1, 田中 千恵:1, 山田 豪:1, 中山 吾郎:1, 藤井 努:1, 杉本 博行:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

上部消化管内視鏡検査で胃に送気すると小弯にシャープな襞,いわゆる胃角が形成される.もし胃壁の伸展性がいずれの場所も均一ならば,送気をしても胃本来の形である曲玉状のまま膨張し胃角は形成されない.胃角が形成されるためには,全く伸展しない小弯の一点と極めて伸展性の良い大弯が向かい合う解剖が必要がある(図1).これは胃角部を示す小弯血管Crow`s footの形状からも明らかであり,放射状に伸びる走行はその中心の壁に伸展性がない事を示している.
胃角部小弯から垂直に大弯側に切り込み,挙上性を優先した細径胃管の作成法は広く知られている.しかし,壁伸展の悪い胃角部は切り落とすことで大弯側の伸展を有効に用いることができ,胃管の挙上性は最も良好になる(図2).当科ではこのコンセプトのもと,起点を胃角に置かず大彎に沿った幅3cmのラインで胃角部を切離し,胃体部は壁内血流を期待し幅4-5cmとなる胃管を作成してきた.
当科(2007.1~2016.11)にて食道亜全摘後,この胃管を用いて再建342例(胸腔内高位184例,胸骨後99例,後縦隔経路頸部59例)中,縫合不全は9例(2.6 %)であった.吻合は挙上経路によらずcircular staplerによる胃管大彎への端側で行っており特徴はなく,比較的低率な縫合不全率は条件の良い胃管に起因すると考えている.胃角部を切り込み同部の壁内血流を犠牲にする細径胃管では,先端の血流は悪くなることを想定し可能な限り血流良好な下位での吻合が望まれる.胃角切離で改善する数cmの挙上性が重要となる.胃角部の壁伸展性を利用し挙上性を優先した,当科の胃管デザインをビデオで供覧したい.

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