演題
SY05-7
腫瘍栓を伴う肝細胞癌に対する治療戦略 |
【背景】門脈腫瘍栓,下大静脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌の予後は極めて不良である.当施設においては,2000年以降,門脈腫瘍栓 (PVTT)を有する肝細胞癌 (Vp-HCC)に対して,腫瘍栓を標的とした3次元原体照射を130例以上 (切除例9例を含む)に行い,その有効性を報告してきた.特に病変が片葉に限局した症例においては,多発肝癌であっても,外科切除も含めた集学的治療を行い,その長期成績は非常に良好であった.しかし,従来型の放射線治療 (50 Gy,25分割)は1か月程度の照射期間を要し,癌の進行に伴い予定された照射計画を完遂できなかった症例が約10%に認められた.そこで,より短期間での照射が可能となる体幹部定位放射線照射 (Stereotactic Body Radiation Therapy: SBRT)を用いた新規プロトコールを導入し,安全性および有効性を検討している.
【方法】対象は病変が片葉に限局した腫瘍栓を伴う肝細胞癌症例とした(多発肝癌,再発肝癌を含む.予定残肝に肝細胞癌を認める場合には,TACE等で病勢がコントロールされていること).血管造影CTで腫瘍進展範囲を決定する.放射線照射は放射線治療専門医と協議のうえ腫瘍栓を中心に主腫瘍を含めた呼吸同期照射48Gy(12Gy/日, 4日間照射)を行い,照射後2週間以内に肝切除を施行する.術後全身状態が安定した時点で肝動注カテーテルおよびリザーバーを留置し,Low dose FP療法 (5-FU: 250 日/day, 5日/週,シスプラチン:10 mg/日.5日/週,各4週/サイクル)を3サイクル施行する.
【結果】現在までに11例 (54-80歳,男性8例/女性3例,初発7例/再発4例)を登録した.腫瘍径は55mm(中央値, 最小値-最大値8-110)であり,4例が多発肝癌であった.門脈腫瘍栓はSBRT時において,Vp2/3/4はそれぞれ1/6/4例であった.肝切除術は経過中に肺転移を認めた症例と,肝機能改善のなかった症例を除く9例に施行しえ,特記すべき術後合併症を認めなかった.肝動注は動注リザーバー留置待機の2例を除く7例中6例に施行した.治療後の経過としては,切除術を施行した9例中1例が術後9か月で単発肝再発,多発肺再発を来し,TACEおよびソラフェニブにて加療を,1例が他病死したが,その他7例は無再発で経過している.
【結語】
SBRTの導入により,経過中の癌の進行に伴う治療の中止はほとんど認められず,現時点では重篤な合併症なく治療が行なえている.
【方法】対象は病変が片葉に限局した腫瘍栓を伴う肝細胞癌症例とした(多発肝癌,再発肝癌を含む.予定残肝に肝細胞癌を認める場合には,TACE等で病勢がコントロールされていること).血管造影CTで腫瘍進展範囲を決定する.放射線照射は放射線治療専門医と協議のうえ腫瘍栓を中心に主腫瘍を含めた呼吸同期照射48Gy(12Gy/日, 4日間照射)を行い,照射後2週間以内に肝切除を施行する.術後全身状態が安定した時点で肝動注カテーテルおよびリザーバーを留置し,Low dose FP療法 (5-FU: 250 日/day, 5日/週,シスプラチン:10 mg/日.5日/週,各4週/サイクル)を3サイクル施行する.
【結果】現在までに11例 (54-80歳,男性8例/女性3例,初発7例/再発4例)を登録した.腫瘍径は55mm(中央値, 最小値-最大値8-110)であり,4例が多発肝癌であった.門脈腫瘍栓はSBRT時において,Vp2/3/4はそれぞれ1/6/4例であった.肝切除術は経過中に肺転移を認めた症例と,肝機能改善のなかった症例を除く9例に施行しえ,特記すべき術後合併症を認めなかった.肝動注は動注リザーバー留置待機の2例を除く7例中6例に施行した.治療後の経過としては,切除術を施行した9例中1例が術後9か月で単発肝再発,多発肺再発を来し,TACEおよびソラフェニブにて加療を,1例が他病死したが,その他7例は無再発で経過している.
【結語】
SBRTの導入により,経過中の癌の進行に伴う治療の中止はほとんど認められず,現時点では重篤な合併症なく治療が行なえている.