演題

RS3-164-16-2

胸部食道癌における完全腹腔鏡・縦隔鏡下経裂孔的中下縦隔郭清の工夫―食道牽引と縦隔内食道離断―

[演者] 星野 明弘:1
[著者] 中島 康晃:1, 川田 研郎:1, 東海林 裕:1, 岡田 卓也:1, 安野 正道:1, 小嶋 一幸:1, 河野 辰幸:1
1:東京医科歯科大学大学院 消化管外科学

【はじめに】胸部食道癌根治術は右胸腔アプローチが標準であり,縦隔鏡下手術はリンパ節郭清の面から縮小手術として位置づけされている.リンパ節郭清に関して通常の手術との同等性について,当科では臨床試験を実施中である.
我々は以前から胸腔鏡下食道切除術においては胸部操作時間の短縮のために経裂孔的な(中)下縦隔郭清を基本としており,最近では完全縦隔鏡下に経裂孔的中下縦隔郭清を行っている.今回,当科で施行している縦隔鏡下経裂孔的中下縦隔郭清の工夫の実際についてビデオを供覧する.
【手術手技】腹部は腹腔鏡下胃切除に準じて逆台形状にトロカーを留置(右季肋部に5mm,残りはすべて12mm).まずは小網を切開し,腹部食道を全周剥離できたら綿テープで確保する.その後は腹腔鏡下胃切除に準じて主要血管の処理とともに腹部リンパ節を郭清し胃を授動する.そして横隔膜の腱中心を腹側に切離し,食道裂孔の間口を十分に広げる.綿テープで確保した食道を助手に尾側方向を中心に牽引してもらい,①食道背側(大動脈側),②食道腹側(心嚢側),③食道側面の順に剥離および郭清を行う.経裂孔手技が頭側に進むにつれ腹腔内の胃が視野展開の妨げとなるため,病変に切り込まないよう留意し可及的に縦隔内の食道を離断する.その後107,109リンパ節群を確認したら,左右気管支壁を露出してその領域のリンパ節を郭清する.特に109Rは術者が患者右側に立った場合デバイスの挿入角度からやや郭清がしづらいため,Articulating tissue sealersを最近は使用している.
考察:Hand-assisted laparoscopic surgery(HALS)では術者の左手は食道の牽引に使用せざるを得ないが,助手に食道をテープで牽引してもらうことで術者は左手の鉗子にて剥離層へ有効にカウンタートラクションをかけ手術操作を行うことが可能である.また可及的縦隔側で食道を離断することにより裂孔からの縦隔視野が確保され,その良視野の基に剥離郭清ができることで安全性と確実性が向上している.
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