演題

RS3-163-16-2

左側臥位気胸併用胸腔鏡下食道切除術における左上縦隔郭清術の変遷と手術成績

[演者] 佐藤 真輔:1
[著者] 永井 恵里奈:1, 瀧 雄介:1, 渡邉 昌也:1, 高橋 道郎:1, 京田 有介:1, 大端 考:1, 金本 秀行:1, 大場 範行:1, 高木 正和:1
1:静岡県立総合病院 外科

【目的】当院では食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術を2011年に導入してこれまで150例以上経験した.気胸併用左側臥位法を一貫して行っているが,郭清の方法については少しずつ変更してきた.これまでの左上縦隔郭清法の変遷と現在の術式,成績について供覧する.
【対象と方法】2011年2月より2016年11月までの期間に食道癌に対して胸腔鏡下食道切除術を153例に施行した.咽頭喉頭切除をした症例,患者要因で郭清を一部省略した症例等を除いた139例で検討を行った.郭清手技の変遷に伴い4期(導入期,テーピング前期,テーピング休止期,テーピング後期)に分けて手術成績と合併症について検討した.
【成績】導入期の22例は右上縦隔郭清後,早期に口側食道を離断して中,下縦隔を郭清し,左上縦隔は胸部操作の最後に郭清していた.テーピング前期の47例は上縦隔で食道を左反回神経とリンパ節を含む脂肪組織とともにテーピングして背側に牽引し,左上縦隔郭清を行った後に口側食道を離断していた.テーピングにより郭清手技は安定したが,左上縦隔郭清時に食道が存在することで頚胸境界部の視野が妨げられると考え,その後に一時テーピングを中止していた.このテーピング休止期56例は早期に口側食道を離断して上縦隔の広い視野を確保し,左上縦隔郭清は離断直後に行っていた.その後,症例により安定した郭清ができないことがあったことからテーピングを再開した.テーピング後期14例は中縦隔を十分に剥離してから上縦隔で食道を1もしくは2本でテーピングして背側に牽引し,左上縦隔郭清を行った後に胸部操作の終盤で口側食道を離断するようにした.有意差はないものの胸腔内出血量は時期が進むとともに徐々に減少し,胸腔内郭清リンパ節個数は中央値で導入期25個,テーピング前期26個,テーピング休止期30.5個,テーピング後期30個と徐々に増加した.左上縦隔リンパ節個数は中央値で導入期2個,テーピング前期4個,テーピング休止期5個,テーピング後期4.5個と有意に増加した.一方でClavien-Dindo分類でgrade II以上の左反回神経麻痺は導入期13.6%,テーピング前期14.9%,テーピング休止期21.4%,テーピング後期7.7%とテーピング後期には減少した.
【結論】郭清法の改良により左上縦隔の効率的で精緻な郭清が可能となった.現在における当科での工夫と成績を報告する.
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