演題

RS3-162-16-3

鏡視下食道癌手術におけるピットフォールとトラブルシューティング

[演者] 河本 慧:1
[著者] 田邊 俊介:1, 白川 靖博:1, 松三 雄騎:1, 前田 直見:1, 二宮 卓之:1, 野間 和広:1, 藤原 俊義:1
1:岡山大学大学院 消化器外科学

【はじめに】食道癌に対する手術は剥離範囲が広く高侵襲である.特に縦隔内操作においては,拍動や呼吸による影響を受けやすく非常に難易度の高い手術である.近年の鏡視下手術の普及により食道癌の領域でも目覚ましい勢いで胸腔鏡下食道切除手術が普及している.胸腔鏡下手術は従来の開胸手術に比べて,胸壁の損傷が少なく低侵襲であるだけでなく,その拡大視効果によって剥離すべき層を認識しやすい等のメリットがある.反面,鉗子やカメラの角度が制限され,往々にして近視眼的になってしまい全体像を把握しづらくなるなどのデメリットもある.全体像を把握できていなければ,縦隔内の解剖学的な破格を見落としてトラブルにつながるリスクが増加する.当科ではこれまでに320例余りの胸腔鏡下食道癌根治術を経験しており,若干例ではあるが気管損傷,また解剖学的破格に伴うピットフォールを経験したので動画を提示して報告する.
【縦隔内の解剖学的破格によるピットフォール】縦隔内の破格としては,気管憩室や肺静脈・気管支動脈の亜型などにしばしば遭遇する.我々の施設では2011年から鏡視下食道癌手術を導入し,2012年に下肺静脈の走行の亜型による静脈損傷を1例,2013年に気管憩室の損傷による気管穿孔を来した症例を1例経験した.
【術前3DCTによる解剖学的破格の把握】気管憩室に関しては,手術時に気管憩室を認めた症例の術前CTをretrospecetiveに検討すると気管憩室を示唆する所見があったことから,現在では術前CTを行う際にthin sliceならびに気管支の3D構築も行い解剖学的破格を見逃さないようにしている.同様に気管支動脈,肺静脈の解剖学的破格に関しても術前thin slice CTにて解剖の詳細を把握するように努めている.とくに気管支動脈の走行はバリエーションが豊富なことから,最近では3DCT施行直前に硝酸薬を投与することにより気管支動脈が良好に描出されており,その有用性を検討している.鏡視下手術は,拡大視効果もさる事ながら,術野の情報を執刀医だけでなく手術室のスタッフ全員で共有できることから,異変に気づきやすく偶発症を低減できる可能性があると考えている.
【結語】胸腔鏡下手術の特性を十分理解し,術前から解剖学的な特徴の理解を怠ることなく手術に望むことは当然であるが,その精度をより一層高めていくことが重要である.
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