演題

RS1-18-9-6

縫合不全動物モデルにおける大建中湯の効果

[演者] 和田 聡朗:1
[著者] 河田 健二:1, 平井 健次郎:2, 長谷川 傑:3, 坂井 義冶:1
1:京都大学大学院 消化管外科学, 2:大津市民病院 外科, 3:福岡大学病院 消化器外科

【目的】①動物モデル(ラット)を用いてDKTによる大腸腸管血流に対する影響を検証する.②直腸前方切除後の縫合不全動物モデルを作成し,DKTの縫合不全に対する影響を検証する.
【方法】①Posmaらが報告している縫合不全動物モデルに準じて,下行結腸で虚血腸管を作成し,ICG imagingを行った(近赤外線カメラ(PDEneo)を使用).その後,腸管血流を輝度解析ソフト(ROIs)を用いて定量解析した.血流評価のパラメーターとして1)最大輝度(Fmax),2)最大輝度に到達するまでの時間(Tmax),3)最大輝度の半分に到達するまでの時間(T1/2),4)傾き(Slope)を測定した.②上述の血流評価ののち,腹膜翻転部から3cm口側で腸管を切離し,下行結腸の虚血を残したまま腸管吻合をおこなった.DKT内服群,control群(蒸留水)にわけ,術後2日目,5日目で吻合部を比較した.評価項目として 耐圧能(Bursting pressure), 縫合不全率, 病理組織診断,吻合部の炎症性サイトカインのmRNA量の比較を行った.
【結果】①DKT群 vs.control群についての各パラメーターでは,1)Fmaxは69.8±24.2 vs.44.1±13.5(p=0.001),2)T1/2は42.8±33.3 vs.61.6±38.8(n.s),3)Tmaxは179.2±71.6 vs.176.6±65.4(n.s),4)Slopeは 0.47±0.31 vs.0.28±0.13(p=0.035)であり,DKT群はPeak値とSlopeが有意に良好であった.②Bursting pressureは術後2日目では有意差はなかったが,術後5日目では129.1±32.6 vs.80.7±48.3(mmHg) (p=0.048)と有意にDKT群が高かった.縫合不全率はコントロール群29.4%(4/17)に対し,DKT群7.7%(1/13)とDKT投与群が少ない傾向にあった(p=0.12).病理組織学的診断では吻合部のGranulation thicknessは術後2日目では有意差はなく,術後5日目においては1633.3±194.6 vs 1025±150.7(μm) (p=0.027)とDKT投与群が有意に肥厚していた.吻合部肉芽組織の新生血管についても術後2日目で有意差はなく,術後5日目において2.6±0.24 vs.3.8±0.3(本/mm2) (p=0.005)とDKT投与群が有意に増加していた.吻合部のmRNA量については術後5日目においてDKT群でIL6,IL1bで低い傾向があり(IL6,p=0.17;IL1b,p=0.42),一方VEGFaにおいては術後5日目でcontrol群より有意に増加していた.(p=0.12)
【結語】DKTが腸管吻合の治癒改善に関係している可能性が示唆された.DKTの吻合部治癒に関わる機序の解明や,大腸外科手術における周術期使用への応用が期待される.
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