演題

RS1-18-9-1

癌関連線維芽細胞の機能解析と制御分子の探索

[演者] 間野 洋平:1
[著者] 正司 裕隆:2, 吉住 朋晴:1, 溝上 雅史:2, 前原 喜彦:1, 考藤 達哉:2
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学, 2:国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター

【目的】様々な癌種において,腫瘍微小環境を構成する癌関連線維芽細胞(CAF)が,癌の増殖や進展に関与することが報告されている.肝細胞癌においてその詳細は明らかではない.本研究では,手術摘出肝から直接部位別に線維芽細胞を分離培養することで,肝細胞癌の悪性化に寄与する分子機序を明らかにすることを目的とした.
【方法】肝癌症例の切除肝より,非癌部・癌部の線維芽細胞を分離し培養した.非癌部線維芽細胞(NF)とCAFの培養上清(CM)と発現遺伝子をサイトカインアレイで解析した.NFとCAFのCMを用いて,肝癌細胞株(Huh7)に対する浸潤能,単球に対する遊走能,腫瘍関連マクロファージ(M2型)への誘導能を比較検討した.アレイで得られた因子について,強制発現や発現抑制によりその機能について解析した.また肝癌患者の血清中の濃度を健常人や肝硬変患者と比較した.
【成績・考案】CAFはNFに比べて,IL-6・IL-8・CCL2の産生量が高値であった.CAFのCMはNFのCMに比較してHuh7の浸潤能をより増強し,単球の遊走能を亢進させ,M2マクロファージへ分化させた.CAFではNFに比較して,細胞老化(Senescence)に関連した遺伝子やβガラクトシダーゼの発現が増加しており,NFからCAFへのSenescence進展の重要性が示唆された.アレイではBMP4がCAFにおいて発現が高かった.BMP4の強制発現やリコンビナントの添加によりサイトカイン産生や活性化,Senescenceが増強し,shRNAによるBMP4の発現抑制により,逆にサイトカイン産生や活性化,Senescenceは抑制された.臨床サンプルにおいては,肝癌患者の血清BMP4を測定したところ,健常人・肝硬変患者に比べて有意に上昇していた.
【結語】肝癌において,CAFはNFに比べて細胞老化が進んでいるが,癌細胞の悪性形質の獲得や腫瘍関連マクロファージの誘導を促進することで,癌細胞増殖に有利な腫瘍微小環境を形成している.BMP4はCAFへの分化を誘導する因子であり,新たな治療標的となる可能性が示唆された.
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