演題

RS1-17-9-5

次世代シーケンサーを用いた急性胆嚢炎の起因菌迅速診断および病態解析

[演者] 浅井 浩司:1
[著者] 黒田 誠:2, 鯨岡 学:1, 渡邉 学:1, 松清 大:1, 齋藤 智明:1, 榎本 俊行:1, 片田 夏也:1, 斉田 芳久:1, 草地 信也:1
1:東邦大学医療センター大橋病院 外科, 2:国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター

【目的】
Tokyo Guideline 2013では急性胆嚢炎の抗菌薬治療として,薬剤感受性試験結果に準じた抗菌薬選択が推奨されている.しかし,胆汁細菌の培養から薬剤感受性試験結果を得るまでには数日以上が必要であり,適切な抗菌薬の早期使用といった面で問題がある.今回われわれは,急性胆嚢炎の起因菌,薬剤感受性結果を迅速に得るために近年注目を浴びている次世代シーケンサーによるメタゲノム解析を用いた研究を行った.さらに,急性胆嚢炎の病態解析を目的として上部・下部消化液の常在細菌叢を明らかにするため唾液・便においても次世代型シーケンサーを用いた網羅的解析を行った.
【方法】
2015年5月から2016年3月において急性胆嚢炎と診断した症例のうち,6症例(P1~P6)の解析を行った.術中に無菌的に採取した胆汁に対して院内培養検査,及びメタゲノム解析を行った.両者において得られた結果を比較・検討した. 唾液・便に関しては患者自身により採取した検体においてメタゲノム解析を行い,常在菌叢の評価を行った.
【結果】
全ての症例において胆汁培養検査とメタゲノム解析で細菌同定結果が一致した.胆汁培養検査では結果を得るまでに約5日を要したが,メタゲノム解析では24時間以内に同定可能であり,さらに2症例においてExtended spectrum ß-lactamase(ESBL)産生大腸菌が検出されたが,これも24時間以内にゲノム型も含めて検出可能であった(CTX-M-14 / CTX-M-27).消化液における常在菌叢の評価では,通常と異なり大腸菌の検出頻度が高いなど,胆汁細菌陽性の急性胆嚢炎患者においては,何らかの常在菌巣の乱れが生じていることが明らかとなった.
【結論】
メタゲノム解析では,24時間以内に起因菌と耐性因子双方の同定が可能であり,また,急性胆嚢炎を発症する患者の消化液における常在菌叢が明らかとなった.今後,メタゲノム解析が急性胆嚢炎における適切な抗菌薬の選択と早期使用に寄与する可能性が示唆された.さらに,Probioticsの服用による整腸作用が耐性菌発生の予防となりうる可能性が示唆された.
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