演題

RS1-17-9-4

部分肝移植における遺伝子組み換えADAMTS13の保護効果 ~ラット過小グラフト肝移植モデルを用いた検討~

[演者] 久保田 豊成:1
[著者] 秦 浩一郎:1, 平尾 浩史:1, 日下部 治郎:1, 吉川 潤一:1, 岡村 祐輔:1, 玉木 一路:1, Ermek Nigmet:1, 稲本 道:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

背景:Small-for-size syndrome (SFSS) は成人生体部分肝移植における解決すべき課題である.我々は,成人生体部分肝移植後にはほぼ全例でTMA(血栓性微小血管障害症)様病態に陥っており,ADAMTS13の肝での産生低下が一因であることを報告してきた.今回,ラット20%部分肝移植モデルを用いて遺伝子組み換えADAMTS13 (rADAMTS13)の保護効果を検証した.
方法:雄性Lewisラットより右葉のみ(約20%)の部分肝グラフトを摘出,4時間冷保存後に,レシピエントに同種・同所性に移植した(Fig.A).レシピエント全肝摘出前と下大静脈吻合後にそれぞれrADAMTS13を200U(治療群)或いは溶媒投与(対照群)の2群で,再灌流後の血液生化学的・病理学的評価を行った.
結果:治療群では,再灌流2,6,24時間において血小板減少の抑制(それぞれp<0.05, <0.01, <0.001, Fig.B)とLDHの減少(p=0.01, 6時間)を認めた.移植肝内に形成される血小板血栓は治療群で有意に改善し(CD41免疫組織染色,p<0.001),結果的に 移植肝微小循環障害の適正化(p<0.001),肝逸脱酵素値の低減(AST, ALT共にp<0.001, Fig.C),炎症性サイトカイン抑制(TNFα, p<0.001; IL-1β, p<0.001 (Fig.D); IL-6, p<0.05),病理学的肝障害度の改善(Suzuki's Score: p<0.001)が確認された.
考察:ADAMTS13は肝・星細胞で生成されるため,成人生体部分肝移植の周術期にはADAMTS13活性は著明に低下・遷延し,これが周術期のTMA様病態を引き起こす一因となっている.ADAMTS13の補充は相対的過小な移植肝のTMA様病態を改善し,成人生体部分肝移植における新たな治療戦略となりうる可能性が示された.

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