演題

SY05-3

高度進行肝細胞癌に対する周術期治療戦略

[演者] 石井 隆道:1
[著者] 福光 剣:1, 瀬尾 智:1, 田浦 康二朗:1, 安近 健太郎:1, 岡島 英明:1, 海道 利実:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

【背景・目的】高度脈管侵襲を伴う肝細胞癌はいわゆるoncologic emergencyとして手術治療が有効ではあるが,予後はいまだ満足できるものではない.我々は周術期に肝動注化学療法をおこなっている.また巨大肝細胞癌は高率に肺転移をきたしやすいため手術方法に工夫を加えてきた.症例を提示し我々の治療方針について検討する.
【方法】2005年から2015年まで当科で肝細胞癌に対して手術を施行した740例に対して後ろ向きに検討を加えた.高度門脈侵襲をVp3またはVp4と,また高度肝静脈侵襲をVv3と定義した.
【結果】Vp3-4群は46例,Vv3群は13例(うちVp3-4かつVv3は4例)認められた.Vp3-4症例では血管再建を要した症例が6例あり生存期間中央値は18.8ヶ月,5年生存率は10.1%であった.Vv3症例では血管再建を要した症例は4例,生存期間中央値は87.2ヶ月,5年生存率は53.0%であった.Vp3-4群およびVv3群ではともに有意差を持って肝外転移を来たしやすく,Vp3-4群では56.5%,Vv3群では38.5%に肝外転移を認められた.一方,多変量解析では腫瘍径と術前AFP値とが肝外転移の有無に対する独立因子として示された.
【考察・結論】一般的に肝動注化学療法は肝内病変の制御には有効とされており,確立されたレジメンはないものの一定の効果を有するとの報告も多く,我々の成績もそれに準ずるものである.しかし高度脈管侵襲を伴う腫瘍や巨大な肝細胞癌は肝外転移を来たしやすいことが示された.これらの症例には周術期の肝動注化学療法に加えて有効な補助全身化学療法の必要性が示唆された.
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