演題

RS1-17-9-2

背景肝に発現するM-CSFの肝細胞癌発症と進展への関与とM-CSF受容体拮抗剤の肝細胞癌の新規治療への応用

[演者] 河野 寛:1
[著者] 古屋 信二:1, 赤澤 祥弘:1, 藤井 秀樹:1
1:山梨大学医学部 外科学講座第一

【目的】肝細胞癌(HCC)発症進展における背景肝に発現するM-CSF関与と,M-CSF受容体抑制剤のHCC増殖抑制効果を検討した.
【方法】
検討I:M-CSF欠損(op/op)とlittermateマウス(LT)に,ジエチルニトロサミン(DEN)を投与し発癌率と肝内M1/M2 Mφ比と血管新生発現を検討した.
検討II:手術標本でM-CSF・新生血管発現,M2Mφ分布と予後を解析した.
検討III:分離肝Mφと単球をM-CSF存在下で共培養し,血管増殖因子産生,血管内皮細胞(VEC)増殖を検討した.
検討IV:HCC株MH134マウス皮下移植,ヒトHCC細胞株(Huh-7)のヌードマウス脾臓移植モデルでM-CSF受容体拮抗剤GW2580の投与効果を検討した.
検討V:DEN肝発癌モデルでGW2580の投与効果を検討した.
【結果】
検討I:op/opでは発癌率がLTと比較し有意に低下した.DEN投与後のop/opの背景肝において,腫瘍周囲のM1/M2 Mφ比と血管新生がLTと比較し有意に減少した.
検討II:M-CSFならびに新生血管発現の高発現群においてDFSが有意に短縮していた.M-CSF発現は,単変量解析により独立した予後因子であった.
検討III:肝Mφと単球は,M-CSF存在下でM-CSF濃度依存性にVEGFを産生したが,その産生量は肝Mφで有意に亢進.VECは,M-CSFと肝Mφの共培養条件下で増殖が最も亢進した.
検討IV:マウスHCC株ならびにヒトHCC細胞株において,GW2580投与により,腫瘍増殖が有意に抑制された.
検討V:DEN投与による肝発癌はGW2580投与により抑制された.
【考察】背景肝に発現するM-CSFは,HCCの発症と進展に関与した.M-CSF受容体阻害剤投与によるHCC増殖抑制効果は,M-CSFを分子標的とするHCC新規治療開発への可能性を示唆する.
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