演題

RS1-17-9-1

肝細胞癌における癌精巣抗原MAGE-A3/6発現の臨床的意義の検討

[演者] 尾原 伸作:1
[著者] 野見 武男:1, 北東 大督:1, 安田 里司:1, 吉川 高宏:1, 山田 高嗣:1, 赤堀 宇広:1, 木下 正一:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学

【はじめに】
Melanoma-associated antigen(MAGE) familyは約50種類が同定されており,その2/3は精巣と癌腫にのみ発現する癌精巣抗原といわれている.MAGE familyは種々の癌腫での発現が報告されており,その意義は十分には解明されていないが,癌の増殖,進展,転移への関与が示唆されている.そしてその発現の特異性から,治療標的となる可能性があると考えられている.MAGE familyのうちMAGE-A3/A6はAMP-activated protein kinase(AMPK)の抑制により,乳癌や肺扁平上皮癌での癌の進展や予後への関与が報告されている.今回,われわれは肝細胞癌でのMAGE-A3/A6の発現およびその意義について検討を行った.
【方法・結果】
肝細胞癌切除例104例の臨床検体を用いてreal-time PCRによるMAGE-A3/A6の発現の有無を評価した.31例(29.8%)で癌部にMAGE-A3/A6の発現が認められた.また非癌部の検体では発現は認めなかった.上記104例をMAGE-A3/A6発現の有無で2群に分け,肝切除後の長期成績を比較した.全生存率および無再発生存率には2群間で有意差は認めなかったが,癌特異的生存率(CSS)は発現群で有意に不良であり(5年CSS 発現群/非発現群:77.3%/ 89.8%, p=0.045 ),肝細胞癌の増殖・進展に関与している可能性が伺われた.CSSに影響する因子の多変量解析では,MAGE-A3/A6発現と肝硬変の有無が独立した予後予測因子となった.
続いてヒト肝細胞癌株(HepG2,Huh-7,Li7)を用いて,MAGE-A3/A6の発現を評価した.real-time PCRおよびWestern-Blotで評価したところ,HepG2,Huh-7ではMAGE-A3/A6の発現は認めず,Li7でのみ発現がみられた.次にsiRNAを用いてMAGE-A3/A6をKnock downするとLi7では有意な細胞増殖抑制がみられ,AMPKの増加も認められた.
【結語】
肝細胞癌においても他癌腫と同様にMAGE-A3/A6の発現例が存在した.その発現と肝細胞癌の増殖や予後への関与が示唆される結果が得られており,MAGE-A3/A6は肝細胞癌の治療標的になりうる可能性が伺われた.
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