演題

RS1-16-9-6

CGRP静脈投与による結腸運動亢進・排便誘発効果の検討

[演者] 小野 智之:1
[著者] 長尾 宗紀:1, 河野 えみ子:1, 土屋 堯裕:1, 井本 博文:1, 渡辺 和宏:1, 田中 直樹:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

【背景】長期臥床高齢者の便秘症や腹部外科手術後の腸閉塞に対する内服薬や外用薬は投与が困難で効果不十分であることも多く,経静脈投与で十分効果のある下剤の存在は有用であると考えられる.生体内存在するCalcitonin Gene Related Peptide (CGRP)という神経伝達物質には胃や小腸運動を亢進させるという報告はあるが,結腸運動に対する報告は未だなく下剤として有用である可能性もある.【目的】CGRP静脈投与が結腸運動,排便に与える影響とその作用機序を明らかにすることである.【方法】ビーグル犬に対し,全身麻酔下に結腸運動測定用のStrain Gauge Force Transducerを回腸末端と結腸に縫着し,回復期間の後にCGRPを投与した.また作用機序検討のため,各種拮抗薬併用下でのCGRP投与効果と,結腸中央で切離再吻合するモデル,結腸の除神経モデルにおけるCGRP投与の効果を検討した.運動評価項目として結腸巨大収縮であるGiant Migrating Contraction (GMC)の発現,排便の有無,運動定量化のための波形下面積としてMotility Index (MI)を測定した.【結果】CGRP静脈投与では各濃度においてGMCと排便が誘発された.また,MIはcontrolと比較してCGRP各濃度で高値であり,濃度依存性であった.Atropine,Hexamethonium存在下ではGMCや排便の誘発は抑制され,MIもCGRP単独投与に比較し低下していた.一方Ondansetron存在下ではGMCや排便の誘発は抑制されず,MIも低下しなかった.切離再吻合モデルではGMCの遠位結腸への伝搬が抑制されており,MIは神経正常群に比べ遠位結腸で低下を認めた.また,除神経モデルではGMCや排便の誘発を認めた.【考察】CGRP静脈投与は結腸運動を誘発し,Muscarine,Nicotine受容体拮抗薬にて作用が阻害されたことから筋層間神経叢より中枢においてAcetylcholineを介して作用する可能性が示唆された.また,切離再吻合モデルにおいてGMCの伝搬を認めないことからCGRPによる結腸運動には内在性神経が重要な役割を果たし,その作用部位は近位結腸にある可能性が示唆された.
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