演題

RS1-16-9-4

中間型上皮間葉移行による患者大腸癌細胞クラスターの転移への寄与

[演者] 岡澤 裕:1,2
[著者] 水越 幸輔:1,2, 大久保 捷奇:2,3, Kaidiliavi Sulidan:2,4, 小山 侑:2,5, 小島 豊:1, 五藤 倫敏:1, 折茂 彰:2, 坂本 一博:1
1:順天堂大学附属順天堂医院 大腸・肛門外科, 2:順天堂大学附属順天堂医院 病理・腫瘍学, 3:順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科, 4:順天堂大学附属順天堂医院 産婦人科, 5:東京歯科大学 口腔病態外科学

【はじめに】様々な患者上皮系癌腫において,完全型上皮間葉移行を介して間葉系の表現型を獲得した単一癌細胞が播種するのか,あるいは細胞―細胞接着を維持した上皮系癌細胞の集簇が,集団的に浸潤し遠隔臓器に転移するのか明らかでない.また中間型上皮間葉移行を介して,上皮系および間葉系の両方の表現型(E/M type)を呈したヒト癌細胞が浸潤・転移に寄与している可能性も示唆されている.しかしながら,これらの諸言のほとんどが細胞株を用いたin vitroの実験系やマウス癌モデルで示されたものであり,臨床検体を用いたin vivoの実験系では未だ証明されていない.本研究では患者大腸癌のPDX modelを作成し,癌細胞の浸潤・転移様式を調査した.
【方法】40症例の外科切除された患者大腸癌組織片(5 mm3)を,高度免疫不全NOD/Shi-scid, IL-2RγKO(NOG)マウスに皮下移植し,生着・増殖後,新たなマウスに同所移植した.6か月以内に原発巣および肝・肺転移巣を採取し,上皮系マーカーのE-cadherinや間葉系マーカーのZEB1, fibronectinや vimentinに対する抗体を使用して免疫組織染色を施行した.さらに複数のPDXモデルから血液を採取し,血中循環癌細胞を調査した.
【結果】皮下移植された40例中28例(70%)の患者大腸癌組織で新たなマウスに継代移植可能であった.このうち13例で同所移植にて原発巣が増大し,8例(62%)で肝臓や肺に転移形成が検出された.原発巣および転移巣における癌細胞はE-cad陽性ZEB1陽性(E/M type)であったが,他の間葉系マーカーfibronectinやvimentin陰性であった.さらにE/M typeの血中循環癌細胞クラスターの存在が検出された.また経脾臓的に肝臓に注入されたE/M type患者大腸癌細胞オーガノイドにおいて,転移のコロニー形成過程で間葉上皮移行によりZEB1の発現が抑制されることが分かった.
【考察】患者大腸癌PDXモデルを用い,E/M typeの大腸癌細胞がクラスターを形成し浸潤・転移形成に寄与していることが示唆された.また遠隔臓器に到達したこれらのE/M type癌細胞クラスターは,間葉上皮移行により上皮系の表現型に移行することにより,転移巣形成を促進することが示唆された.
詳細検索