演題

RS1-16-9-2

抗マラリア薬のリプロファイリングによる大腸癌幹細胞標的療法の開発

[演者] 原口 直紹:1
[著者] 竹田 充伸:1, 高橋 秀和:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 山本 浩文:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

背景と研究目的:癌幹細胞は,高い自己複製能と造腫瘍能,抗癌剤抵抗性を有するため,癌治療における最大の障壁となっている.われわれは,大腸癌幹細胞ではオートファジー・リソソーム経路が特徴的に亢進していることを同定し,抗マラリア薬のリプロファイリングによる大腸癌幹細胞標的治療の臨床試験導入準備を進めている.本報告では,臨床試験開始に向けて蓄積している基礎的知見について報告する.
研究方法:大腸癌細胞株を用いて,抗癌剤投与におけるオートファジー・リソソーム活性のトレーシングを行い,大腸癌幹細胞マーカーであるCD44variantとCD133発現との相関を検討した.Single cell sphere formation assay,limiting dilution assay,BrdU retaining,細胞周期解析等を行い幹細胞性の評価を行なった.また,オキサリプラチンを中心とした抗癌剤,抗マラリア薬,それらの併用による抗腫瘍効果,癌幹細胞ヒエラルキーの変化を評価した.
結果:LC3B+/lysosome+細胞は,CD44V9+/CD133+細胞分画の中の亜分画として存在していた.LC3B+/lysosome+細胞は主にG0/G1期に存在しており,細胞分裂活性が高いLC3B-/lysosome-/CD44v9+細胞よりオキサリプラチンを含む抗癌剤に高い抵抗性を有していた.LC3B+/lysosome+細胞はLC3B-/lysosome-/CD44v9+細胞と比べ,単一細胞からのsphere形成性,造腫瘍性も高かった.後期オートリソソーム活性阻害剤である抗マラリア薬投与により,LC3B+/lysosome+/CD44v9+細胞分画は消失し,さらに,オキラリプラチンとの併用により細胞増殖活性が高いLC3B-/lysosome-/CD44v9+細胞分画が同時に障害されることで抗腫瘍効果の増強が認められた.
まとめ:オートリソソーム活性の阻害は大腸癌幹細胞分画の崩壊を誘導し,さらに,オキサリプラチンを含む抗癌剤を併用することで,大腸癌前駆細胞を含む癌幹細胞ヒエラルキーの包括的標的化が可能であると考えられた.抗マラリア薬の大腸癌に対するリプロファイリングは大腸癌幹細胞ヒエラルキーを包括的に標的とする新規治療法となる可能性があることが示された.
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