演題

RS1-16-9-1

大腸がんにおける血漿中エクソソーム内miR-203発現の臨床的意義

[演者] 増田 隆明:1
[著者] 高野 裕樹:2, 飯沼 久恵:3, 胡 慶江:1, 南原 翔:1, 林 直樹:1, 黒田 陽介:1, 伊藤 修平:1, 江口 英利:1, 三森 功士:1
1:九州大学病院別府病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学医学部 外科学, 3:帝京大学医学部 下部消化管外科

【背景】がん転移において,転移先となる部位に単球細胞等の宿主細胞が前転移ニッチを形成し,がん細胞の転移を幇助すると考えられている.我々は,遺伝子発現マイクロアレイを用いた数理統計解析により大腸がん転移症例においてがん細胞由来のmiR-203が宿主の単球系細胞の遺伝子発現に関与していることを報告してきた.また,細胞より分泌された,miRを含む核酸や蛋白を内包したエクソソームが新たな細胞間情報伝達ツールとして近年注目されている.以上より,エクソソームに内包されたmiR-203ががん細胞より分泌され単球等の宿主細胞を"教育"して前転移ニッチを形成させ,転移を促進している可能性が示唆される.
【目的】大腸がんにおける血漿中エクソソーム内miR-203発現の臨床的意義を明らかにする.
【対象と方法】1.大腸がん240症例の血漿中エクソソームを超遠心法により分離後,エクソソーム内miR-203をmiRNeasy serum/plasma kitにより抽出した.2.TaqMan® Micro-RNA Reverse Transcription Kit及びPCR LightCycler® 480 Probes Masterを用いて定量RT-PCRを行いmiR-203と内部コントロールmiR-16の発現量を定量し,血漿中エクソソーム内miR-203発現(内部コントロールで補正)と臨床病理学的因子及び予後との関連を検討した.
【結果】大腸がん240症例を予後におけるminimum P value法によりmiR-203高発現群(n=121)と低発現群(n=119)に分類した.miR-203高発現群は性別,分化度,腫瘍径,深達度,リンパ管侵襲に相関を認めなかったが,リンパ節転移,静脈侵襲,肝転移,腹膜播種が有意に多く(χ2乗検定:P<0.05),また予後不良であった(Kaplan-Mayer法, Log rank test:P<0.05).予後における多変量解析では肝転移,腹膜播種とともに独立予後不良因子であった(Cox比例ハザードモデル:P<0.01).
【考察】大腸がんにおいて,血漿中エクソソーム内miR-203の高発現は転移及び予後不良の予測バイオマーカーとなりうることが示唆された.現在大腸がん細胞におけるmiR203発現と前転移ニッチ形成の関連について検討している.
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