演題

RS1-15-9-6

DNAポリメラーゼ関連遺伝子変異を伴う大腸癌の臨床病理学的・遺伝子的検討

[演者] 日野 仁嗣:1
[著者] 賀川 弘康:1, 楠原 正俊:2, 絹笠 祐介:1, 塩見 明生:1, 山口 智弘:1, 山川 雄士:1, 寺島 雅典:3, 上坂 克彦:3, 山口 建:4
1:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 2:静岡県立静岡がんセンター研究所 地域資源研究部, 3:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科, 4:静岡県立静岡がんセンター

【背景】大腸癌は,近年の大規模な網羅的遺伝子解析によりhypermutated typeとnon-hypermutated typeに分類された.さらに,hypermutated typeの中には,MSIを示さず,極めて高い遺伝子変異率を有するサブタイプ(ultramutated type)が存在し,それらはDNAポリメラーゼに関連する遺伝子(DNA polymerase epsilon: POLE or DNA polymerase delta 1: POLD1)に変異を有することが報告されている.一方で,これらの症例の臨床像については十分には判明していない.本研究では,大腸癌におけるPOLE及びPOLD1遺伝子変異陽性大腸癌における臨床病理学的・遺伝子的特徴について検討した.【対象と方法】当院ではProject HOPEと称する,がん組織の外科的切除標本のマルチオミクス解析を行っている.その中で,2014年1月~2016年2月に外科的切除した原発性大腸癌の内,術前補助療法を施行した症例を除いた602病変を対象とした.次世代シーケンサーを用いた全エクソン解析を行い,POLE及びPOLD1遺伝子変異を有する症例の臨床病理学的,遺伝子的特徴を検討した.本検討においてはsnv > 500をhypermutated typeとした.【結果】602病変中hypermutated typeは36病変(6.0%)であり,snv中央値は1500(548 - 13507)であった.POLEもしくはPOLD1のexonuclease domain(POLE: 86-427, POLD1: 130-477)に変異を有していたのは6病変(1.0%)であった.1病変はこれら両者の変異を認め,4病変はPOLEの変異のみ,1病変はPOLD1の変異のみであった.また,snv中央値は5101(3751 - 13507)であった.これら6病変とその他のhypermutated type大腸癌を比較すると,POLEもしくはPOLD1に変異を有する症例で有意にsnvが多く(5101 vs 1307),若年発症(43 vs 68歳)であり,腫瘍最大径が大きい(108 vs 55 mm)という結果であった.その他腫瘍占居部位,腫瘍深達度,リンパ節転移の有無,遠隔転移の有無,脈管侵襲,組織型には差は認めなかった.【考察】POLEもしくはPOLD1のexonuclease domainの変異を有することで極めて多くの遺伝子変異が生じると考えられた.また,これらの病変は他のhypermutated typeと比較し,有意に腫瘍径が大きく,若年発症であることが判明した.【結語】今後DNAポリメラーゼ関連遺伝子に変異を伴う大腸癌の長期予後の検討が必要であり,また,これらの症例に対する特異的治療の開発が望まれる.
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