演題

RS1-15-9-2

イリノテカン治療バイオマーカーとして新たに同定された遺伝子多型

[演者] 恒富 亮一:1
[著者] 硲 彰一:1,2, 岡山 直子:3, 友近 忍:1, 鈴木 伸明:1, 坂本 和彦:1, 飯田 通久:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:1,4, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院医学系研究科消化器・腫瘍外科学, 2:山口大学医学部先端がん治療開発学, 3:山口大学附属病院検査部, 4:山口大学附属病院腫瘍センター

【背景】イリノテカンは大腸癌などで,化学療法剤として広く用いられている一方,白血球減少などの重篤な副作用を示す.UGT1A1遺伝子多型 (*28, *6) が,イリノテカン副作用に関与することが明らかとされているが,UGT1A1*6, *28を持たない症例においてもイリノテカン副作用が多く見られる.そこで,次世代シーケンサーを用いてイリノテカン副作用と関連する新たなvariantの探索・同定を行い,個別化がん治療の発展を目的とした.
【方法】患者末梢血ゲノムDNAを用いて,ゲノム網羅的解析 (WES解析) を行った.コントロール群として,UGT1A遺伝子多型 (UGT1A1*6, *28を含む7箇所) が全て副作用リスクの低いhomozygousかつイリノテカン副作用の見られなかった症例 (n = 5),ケース群には,コントロール群と同じUGT1A遺伝子多型であったにもかかわらず副作用 (Grade 3, entire course) がみられた症例 (n = 5),及び,何れかのUGT1A遺伝子多型をheterogeneousに有するイリノテカン初回投与時から副作用 (Grade 4) がみられた症例 (n = 5) を設定し,ケース・コントロール解析を行った.Validationとして加水分解プローブによるジェノタイピングを行った (N = 155).遺伝子多型と副作用発生頻度および奏功率との統計解析にはCochran-Armitage trend testを用いた.
【成績】WES解析結果から,コントロール・ケース群間のアレル頻度の差違をStandardized differenceを用いてランキングし,8つの遺伝子におけるイリノテカン副作用バイオマーカー候補SNPsを得た.APCDD1L, EDEM3遺伝子における多型はUGT1A1*6 homozygous, *28 homozygous, compound heterogeneousを除いた症例 (n = 145) においても,副作用発生頻度と有意な線形傾向が見られた.また,APCDD1L遺伝子多型頻度は治療奏功とも有意な線形傾向が見られた.
【結論】本研究からのイリノテカン治療関連遺伝子多型は,UGT1A遺伝子多型に加えて用いることで,イリノテカン投与における個別化がん治療のさらなる発展が期待される.
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