演題

RS1-14-9-6

膵癌におけるFBXW7発現の臨床的意義および癌進展・治療抵抗性に与える影響

[演者] 石井 範洋:1,2
[著者] 新木 健一郎:1,2, 山中 崇弘:1,2, 塚越 真梨子:1,2, 五十嵐 隆通:1, 渡辺 亮:1,2, 久保 憲生:1,2, 桑野 博行:2, 調 憲:1
1:群馬大学大学院肝胆膵外科, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】肝胆膵領域癌は難治性癌が多く,疫学的にも増加傾向にある.なかでも膵癌は全体の5年生存率が10%未満と低く,最も予後不良な癌種の一つである.集学的治療の進歩により予後は改善しつつあるが,さらなる予後改善のためにも癌の悪性度や進展および治療抵抗性に関わる新たなバイオマーカーが求められ,それらを標的とした新規治療戦略が望まれる.E3ユビキチンリガーゼであるFBXW7は様々な細胞内シグナルに関わるOncoproteinの分解を担っており,腫瘍抑制因子とされている.今回我々は膵癌のFBXW7発現の臨床的意義および,その発現が癌の悪性度に与える影響について検討を行った.【対象と方法】膵癌切除検体122例を対象に免疫染色にて癌部のFBXW7発現の評価を行い,臨床病理学的因子や予後との関係について検討を行った.また,膵癌細胞株を用いてFBXW7発現の抑制を行い,悪性度との関連を検討した.【結果】FBXW7は核に発現を認め,染色強度とその割合で評価を行い高発現68例,低発現54例であった.臨床病理学的因子との関係では,FBXW7低発現群で有意に静脈侵襲陽性の頻度が高く(P=0.037),Ki-67免疫染色との関係では,FBXW7低発現群では有意に陽性率が高かった(P=0.022).無再発生存期間及び全生存期間は低発現群で有意に不良であり(P=0.035,P=0.007),リンパ節転移陰性29例においても低発現群は有意に予後不良であった(P=0.01).予後に対する多変量解析ではFBXW7低発現は独立した予後不良因子として抽出された(P=0.042).また,膵癌細胞株にてFBXW7の発現を抑制すると,増殖能・遊走能の有意な亢進を認め,Gemcitabine(GEM)に対してはControlと比較して有意に抵抗性を示した.実際に術後にGEMで治療された95例の予後の検討では,FBXW7低発現群は有意に予後不良(P=0.008)であり,GEM抵抗性に起因する可能性がある.【結語】膵癌におけるFBXW7の発現は予後予測因子として有用である可能性が示され,癌の悪性度および抗癌剤感受性と関連していた.FBXW7の発現制御は膵癌の治療標的となりうると考えられた.
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