演題

RS1-13-9-6

胃癌における腫瘍細胞のPD-L1発現と腫瘍浸潤リンパ球のPD-1発現に関する検討

[演者] 村上 裕樹:1
[著者] 齊藤 博昭:1, 尾崎 知博:1, 河野 友輔:1, 黒田 博彦:1, 松永 知之:1, 福本 陽二:1, 前田 佳彦:1, 蘆田 啓吾:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学医学部 病態制御外科学

(はじめに)近年,免疫チェックポイント分子機構が癌の免疫逃避機構に関与していることが報告されている.PD-L1(Programmed cell death-Ligand 1)は免疫チェックポイント分子PD-1(Programmed cell death-1)のリガンドで,癌細胞のPD-L1発現が癌の進展に関与する可能性がいくつかの癌種で報告されている.
(対象と方法)当科で胃癌に対して胃切除術を施行した157例を対象に,免疫組織染色にてPD-L1の発現を調べた.5%以上の腫瘍細胞にPD-L1発現が認められる症例をPD-L1陽性とし,臨床病理学的因子や予後との関連を検討した.また,フローサイトメーターを用いて腫瘍浸潤CD4およびCD8 Tリンパ球におけるPD-1発現を調べ,腫瘍細胞のPD-L1発現との関連を検討した.
(結果)
1. PD-L1発現は主に胃癌細胞の細胞膜および細胞質に認められ,157例中42例(26.8%)がPD-L1発現陽性であった.
2. PD-L1発現陽性症例は陰性症例と比較して有意に高齢で(p=0.019),腫瘍径が大きく(p=0.003),低分化型(p=0.03),進行癌(p<0.0001),リンパ節転移(p<0.0001),リンパ管侵襲陽性(p<0.0001),静脈侵襲陽性(p=0.0003),StageⅢ/IV症例(p<0.0001)の頻度が有意に高率であった.
3. PD-L1陽性症例の5年生存率は48.9%であり,陰性症例の80.7%と比較して有意に予後不良であった(p<0.0001).さらに多変量解析では,深達度,静脈侵襲に加えて,PD-L1発現が独立した予後因子として認められた.
4. 腫瘍浸潤リンパ球の検討では,CD4 Tリンパ球のPD-1発現はPD-L1陰性症例30.6 ± 9.7% ,陽性症例49.7 ± 10.4%で陽性症例に有意に高値であった(p<0.0001).さらにCD8Tリンパ球はPD-L1陰性症例30.7 ± 14.7%,陽性症例42.5 ± 14%で陽性症例に有意に高値であった(p=0.033) .
(結論)胃癌症例においては腫瘍局所のリンパ球のPD-1発現,腫瘍細胞のPD-L1発現がともに上昇していた.これによりPD-1-PD-L1経路が活性化され,このことが胃癌の進展に関与している可能性が示唆された.
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