演題

SY04-9

安全・安心な肝臓移植のための京都大学の取り組み

[演者] 海道 利実:1
[著者] 穴澤 貴行:1, 吉澤 淳:1, 八木 真太郎:1, 秦 浩一郎:1, 田浦 康二朗:1, 安近 健太郎:1, 岡本 晋弥:1, 上本 伸二:1
1:京都大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【はじめに】肝移植症例では術前適応評価において単に肝障害の評価のみならず,耐術性からみた全身評価及び周術期を見据えた術前管理が肝要である.手術では侵襲を最小限にとどめ,術後は他職種とのチーム医療が機能していることが求められる.今回,京都大学での現在の肝移植症例の術前評価・管理,術中ならびに術後管理の取り組みを検討した.
【方法】2013年1月より肝移植適応にADLを含めた適応を採用し,現在ではサルコペニアを客観的指標で評価し適応基準としている.手術リスクが大きいと判断される症例に対しては麻酔科,集中治療部,医療安全委員会,看護部や症例のリスクに応じて専門性が必要と判断される腎臓内科,泌尿器科,心臓血管外科など他職種を交えた術前カンファレンスを行っている.栄養状態評価においては栄養サポートチームが術前から介入し,評価のみならず栄養管理を行い,ADLの向上については術後のみならず術前からリハビリテーションを理学療法部が介入し行っている.術後の免疫抑制療法に関する至適血中濃度の管理は薬剤部TDMにより行われ,薬剤部の指示のもと投与量をコントロールしている.
【検討項目】2012年12月までと2013年1月以降の生存率及び他職種合同カンファレンス,栄養評価・管理,リハビリテーション介入,免疫抑制療法のTDM管理の現状について検討した.
【結果】移植後1年生存率は2012年12月までで81%,以降では93%に向上した.他職種合同カンファレンスは門脈血栓・閉塞症例4例,肝腎同時脳死移植待機症例1例(泌尿器科参加),複数回の手術既往を有し著明な腹部膨満を有した脳死待機先天性肝囊胞症例1例(バイオポンプ使用に伴い心臓血管外科参加)に対して行われた.先天性肝囊胞症例に対して行われた脳死ドナー肝移植では心臓血管外科ならびに麻酔科の対応がスムーズに行えた.栄養評価・管理では成人症例全例に経腸栄養管理を行い,摂取カロリー,栄養バランスについては栄養サポートチームの指示のもと行っている.リハビリテーションは術後早期から介入し早期離床が可能となっている.免疫抑制療法はTDM管理により至適濃度から逸脱することが減少し,濃度維持が保たれるようになった.
【結語】チーム医療が良好に機能し,より安全な肝移植医療の体制の構築が可能となっている.
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