演題

RS3-121-7-3

大腸癌手術における縫合不全の予後への影響;Propensity socre matching analysisを用いた検討

[演者] 岡島 航:1
[著者] 中西 正芳:1, 栗生 宜明:1, 村山 康利:1, 有田 智洋:1, 生駒 久視:1, 市川 大輔:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

背景と目的;近年,大腸癌術後の縫合不全は癌死に関連すると報告されており,縫合不全の発生には,術者因子のみならず,臨床病理学的な種々の因子が影響すると考えられている.今回,縫合不全との予後の関連について,当院の症例全体,またpropensity matching analysisの手法により,背景因子を統一したコホートについても検討を行った.またその発生に関わる臨床病理学的因子を明らかとすることを目的として解析を行った.
対象と方法;2008年から2016年までに当院で施行された大腸癌手術症例全1192例を対象にRetrospectiveな解析を行った.
結果;1)縫合不全は45例認め(縫合不全群),同一術式が施行され縫合不全を認めなかった828例(非縫合不全群)と比し有意に予後不良であった(P=0.019).また,両群の背景因子を比較すると,縫合不全群は腫瘍学的に悪性度の高い直腸癌が有意に多く,やせの患者,男性が多い傾向にあった.多変量解析では,縫合不全はステージと共に独立した予後因子であった(P=0.024, HR=2.586).2)次に,Propensity score matchingの手法により,予後との関連の深いと考えられる因子,年齢,性別,BMI,pStage,手術術式について非縫合不全群を縫合不全群にマッチングさせた.マッチング後の両群の予後を比較しても,縫合不全群は非縫合不全群に比し有意に予後が不良となった(P=0.026).また,多変量解析では縫合不全はステージと共に独立した予後因子であった(P=0.046, HR=5.788).3)さらに,マッチング後のコホートで縫合不全の発生に関わる因子について解析すると,既報のとおり縫合不全群では術前Glasgow Prognostic Score (GPS)が有意に低く,術中出血量が有意に多かった.しかし両群で,術前腸閉塞,糖尿病,開腹術の既往,喫煙習慣,抗血小板薬あるいは抗凝固薬の内服歴の有無については有意差を認めなかった.ロジスティック解析でも,術前GPS,術中出血量は縫合不全の独立した危険因子であった(P=0.007, 0.008, Odds ratio=7.410, 5.137).
結語;当院の解析では,大腸癌術後の縫合不全は予後不良因子であり,背景因子を統一して比較しても尚予後不良因子としての意義を認めた.大腸癌の更なる予後改善の為には,縫合不全の予防が重要であり,出血の少ない安全な手術を行うことが重要である.また,今回明らかとなった危険因子について,更なる解析を行う予定である.
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