演題

RS3-121-7-2

進行下部直腸癌における術前化学療法前後のCTでのリンパ節短径測定によるリンパ節転移の予測

[演者] 佐藤 健太郎:1
[著者] 三浦 卓也:1, 吉田 達哉:1, 長谷部 達也:1, 諸橋 一:1, 坂本 義之:1, 袴田 健一:1
1:弘前大学大学院 消化器外科学

【目的】本邦の下部直腸癌に対する標準治療はtotal mesorectal excision(TME)+側方郭清(LPLD)であるが,リンパ節転移例は予後が悪く,早期からの全身制御を目的に術前化学療法(NAC)が試みられている.しかしNACは有害事象を伴うため,リンパ節転移を術前から予測し症例を適切に選択すべきである.今回我々は,下部直腸癌に対しNAC後に手術を行った症例を後方視的に検討し,NAC前後のCTでの直腸周囲リンパ節(PRLN)および側方リンパ節(LPLN)の最大短径がリンパ節転移と関係するか検討した.【対象と方法】2012年から2016年にNAC後にTME(+LPLD)を行った下部直腸癌37例を対象とした.LPLDは29例に施行し,病理学的腸間膜リンパ節転移陽性(pPRLN+)は10例(27%),病理学的側方リンパ節転移陽性(pLPLN+)は3例(10.3%)であった.CTでNAC前後のPRLNとLPLNの最大短径を計測し,リンパ節転移の適切なcutoff lineを検討した.【結果】まずリンパ節最大短径のサイズとリンパ節転移の関係を検討した.NAC前PRLNの最大短径は,pPRLN(+)群9.25mm,pPRLN(-)群7.4mmでpPRLN(+)群が有意に大きく(p=<0.001),NAC前LPLNの最大短径はpLPLN(+)群11.9mm,pLPLN(-)群4.90mmでpLPLN(+)群が有意に大きかった(p=0.013).NAC後PRLNの最大短径はpPRLN(+)群7.25mm,pPRLN(-)群5.90mmでpPRLN(+)群が有意に大きく(p=0.025),NAC後LPLNの最大短径はpLPLN(+)群6.60mm,pPRLN(-)群4.00mmでpLPLN(+)群が有意に大きかった(p=0.020).以上よりリンパ節短径と転移は相関していた.ROC曲線で決定した術前リンパ節転移陽性の最適なcutoff lineは,NAC前はPRLN 7.8mm(ROC曲線下面積(AUC)=0.839),LPLN 7.5mm(AUC=0.949)であった.NAC後はPRLN 7.2mm(AUC=0.744),LPLN 5.4mm(AUC=0.923)であった.AUCの値から,NAC前のCTがよりリンパ節転移の診断能が高いと考えられた.Cutoff lineを実用的な数値とするため,NAC前のリンパ節短径のcutoff lineを7mmと8mmにした場合の診断能を比較した.PRLN≧7mmは感度100%,特異度40.7%,診断精度56.8%,PRLN≧8mmは感度90.0%,特異度66.7%,診断精度73.0%であった.LPLN≧7mmは感度100%,特異度84.6%,診断精度86.2%で,LPLN≧8mmは感度66.7%,特異度92.3%,診断精度89.7%であった.【結語】下部直腸癌では,CTでの最大短径計測によるリンパ節転移の診断能はNAC前が高い.感度,特異度,診断精度が高く,かつ簡便なcutoff lineはPRLN,LPLNともNAC前の最大短径8mmであり,NACを適切に導入する基準として有用と考えられる.
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