演題

RS3-121-7-1

局所進行直腸癌における術前化学放射線療法後のPD-L1発現の変化

[演者] 山下 公大:1
[著者] 中川 暁男:1, 角 泰雄:1, 長谷川 寛:1, 松田 武:1, 金治 新悟:1, 押切 太郎:1, 中村 哲:1, 鈴木 知志:1, 掛地 吉弘:1
1:神戸大学大学院 食道胃腸外科学

【はじめに】局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)は,欧米では標準治療とされる.様々な薬剤・分子標的薬の上乗せ効果を期待したtrialでは,5-FUベースのレジメンに対する完全に優位性は示されていない.また,その多くは全生存率に貢献しない.進行直腸癌の予後改善のためには新規術前治療の開発が現在の課題であるといえる.近年,免疫チェックポイント阻害剤が多くの癌種においてその高い奏功率と奏功期間の長さが報告されて,標的であるPD-L1(Programmed death ligand 1)に関する研究が進められている.当施設での免疫学的因子に関し,組織学的検討を加え,これを治療成績への関連を検討しする.
【対象と結果】局所進行直腸癌に対し,UFT/LVを用いたCRT(45Gy)施行後に手術を行った症例39例で,遠隔転移のないT3またはT4及びN+の症例を適応とした.プロトコール完遂率は97%であり,安全に施行可能であることが示された.CRTの病理組織学的効果がGrade2/3の症例は有意に予後良好であった.このうち評価の対象としたものは,Grade3を除いた30例で,CD8+細胞とPD-L1の発現を治療前生検標本及び手術標本を用いて,検討した.CRTにより腫瘍組織内CD8+細胞は,治療前6例(20%)が,術後15例(50%)と浸潤の程度が増強した.また,腫瘍細胞のPD-L1は治療前1例(3.3%)が術後5例(16.7%)と発現の増強が明らかとなった.PD-L1及びCD8の両陽性群は,治療前0例(0%)が術後3例(10%)であった.また,腫瘍細胞のPD-L1陽性群では,全生存及び無再発生存において予後が不良であった.
【まとめ】CRTとの組み合わせでPD-L1が誘導される症例があり,免疫チェックポイント阻害剤の併用も期待できる可能性を持つ.さらなる検討を重ねていきたい.
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