演題

RS2-58-6-3

術前血糖コントロールと食道扁平上皮癌の予後

[演者] 岡村 明彦:1
[著者] 渡邊 雅之:1, 今村 裕:1, 速水 克:1, 山下 公太郎:1, 黒河内 喬範:1, 峯 真司:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】
近年,糖尿病が癌の発生や増殖に関与している可能性が示唆されているが,食道扁平上皮癌に関して糖尿病と予後との関連を検討した報告は少なく,また術前血糖コントロール状況について考慮した報告はない.今回,術前HbA1c値を用いて,術前血糖コントロールが食道扁平上皮癌術後の予後に与える影響を検討した.

【対象と方法】
2005年から2014年に食道扁平上皮癌に対して治癒切除を施行した623症例を対象とした.術前血糖コントロール指標については,術前HbA1c値が7.0%未満のものをコントロール良好,7.0%以上のものをコントロール不良と定義した.糖尿病の有無や血糖コントロール状況が術後予後に与える影響について検討した.

【結果】
糖尿病併存症例は64例(10.3%)で,コントロール不良症例は30例(4.8%)であった.非糖尿病群(n=559),コントロール良好糖尿病群(n=34),コントロール不良群(n=30)の全生存期間および疾患特異的生存期間を比較するとコントロール不良群で有意に予後が不良であった.単変量解析で血糖コントロール不良群(n=30)と血糖コントロール良好群(n=593)を比較すると,全生存および疾患特異的生存における血糖コントロール不良のハザード比は1.91(1.15-3.18),1.89(1.02-3.49)であり,同様に多変量解析ではそれぞれ1.72(1.02-2.88),1.65(0.89-3.08)であった.病期で層別解析を行うと,pStage 0-IIでは血糖コントロール不良は予後に影響を認めないものの,pStage III-IVにおいては,ハザード比はそれぞれ2.05(1.14-3.69),1.95(1.01-3.80)と有意な予後不良因子であった.

【結語】
病期のより進んでいる食道扁平上皮癌患者において,術前コントロール不良な高血糖は,治癒切除後の予後不良因子となりうる. 術前の慢性的な高血糖状態が,食道扁平上皮癌の増殖,転移に悪影響を及ぼしている可能性がある.
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